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2019/08/08

HACCP制度化で何が変わる?食品企業がすべきことは?

HACCP制度化で何が変わる?食品企業がすべきことは?

 日本でも2018年6月に改正食品衛生法が公布され、原則としてすべての食品等事業者が、HACCP に沿った衛生管理への取り組みを求められるようになりました。経過措置期間などを考慮すると、公布日から3年程度の準備期間はありますが、大手企業を中心に、取引先に対してもHACCPの導入を求める動きが徐々に活発化しています。

 しかしながら、HACCPはもともと海外で始まった取り組みをもとにしているため、多くの食品企業の皆様にとってはあまり馴染みのない新しい安全管理の方式であり、なかには、そもそも何をすればよいのかよくわからずにまだ着手できていなかったり、取り組みを開始したものの停滞してしまったりしているという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 今回は、改めてHACCPとは何か、HACCP制度化の目的とは、といった基本情報や、具体的に何をすれば良いのかといった対策法について解説します。

 

 

HACCPとは?  HACCP(ハサップ)とは、Hazard Analysis and Critical Control Pointの頭文字を取ったもので、食品製造・流通の工程管理で使用されるリスクマネジメント手法の一つです。国際機関である国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機構(WHO)の合同機関であるコーデックス委員会が1993年に採択し、1997年、2003年に改訂したガイドラインが基本となり、世界中で活用されています。

 

 

海外におけるHACCPの普及状況  HACCPは、当初、米航空宇宙局(NASA)で宇宙飛行士のための食品安全を確保するシステムとして開発されました。それまでは、一般には最終製品をサンプル検査することで食品安全を確認していましたが、全品検査ではないために、サンプル以外の製品について安全を保証することは困難でした。一方で、HACCPは、工程そのものを管理する仕組みであるため、HACCPを導入していればその工程で生産される製品全体の安全性を説明することが可能になります。具体的には、製造工程において食中毒などの原因(微生物など)となる危害要因を特定し、その危害要因を科学的知見に基づいて安全な範囲で管理するための手段を設定し、その手段が有効に機能していることを確認・記録することで安全を担保する仕組みです。

 なお、HACCPはあくまでもその工程(製造ラインなど)そのものを管理しようとする考え方であり、その施設や従業員が衛生的であることは、それが有効に機能するための前提条件(Prerequisite programs=PRP)とされ、HACCPとは区別されています。つまり、一般に日本で良く使われている「5S(整理、整頓、清掃、清潔、習慣)」は国際的にはPRPに分類されるもので、HACCPでは、これに加えて新たな工程管理の仕組みの導入が求められています。

 HACCPは、コーデックス委員会がHACCP適用のためのガイドラインを策定、原則・手順を具体的に示した後、世界中で活用されるようになり、各国でこれをベースとした政策が導入されています。

 欧州連合(EU)では、2006年からHACCPの導入をすべての食品企業に義務付けています。米国でも2011年1月に成立した食品安全強化法で、HACCPをベースとした管理の導入を食品企業に義務付けました。これらの動きは欧米に留まらず、アジアを含めて世界に広まっています。例えば、韓国では品目によってHACCPの導入を義務付けていますし、マレーシアでも国家規格としてのHACCP認証が普及しており、大手企業の多くはこの認証を取得しています。中国やタイでは、輸出食品にHACCPの導入を義務付けています。

 

日本でHACCPが制度化される背景  日本では、これまで食品安全が相当レベルで担保されており、特に国内市場を対象としている食品産業において、現場に新たな負荷のかかるHACCPの導入は、何度か検討された経緯はあるものの、実際には見送られてきました。そのため、HACCPの導入率は低く、2019年度に農林水産省が行った調査(農林水産省 平成 30 年度 食品製造業におけるHACCPに沿った衛生管理の導入状況実態調査結果)でも、4割程度にとどまっています。一方で海外では上述のように、HACCPの導入を義務付けている国が増え、民間の商取引においてもHACCPを含めた認証の取得が求められることが増えています。日本は国策として食品輸出拡大を進めていますが、HACCPの導入率の低さが、輸出拡大の支障となることが指摘されるようになりました。

 また、海外ではHACCPの普及により、食品安全レベルの向上が図られています。食品の原材料の多くを海外に頼っている日本において、輸入食品の安全性確保は非常に重要な課題であり、輸入食品に対してHACCPの導入の証明を求めることが必要となっています。しかし、国内企業に対して求めていない内容を輸入食品に求めることは、貿易上、非関税障壁として問題となります。したがって、国内企業にも同様にHACCP導入を求める必要性が生じるようになりました。

 さらに、国内での食品安全の考え方が、世界標準となっているHACCPと異なることにより、世界で商取引を展開するグローバル企業は、HACCPと国内規制の両方に配慮することが必要となり、ダブルスタンダードへの対応が実質的にコストとなっていました。

 これらの背景から、日本国内おいても、食品安全を確保するための規制の考え方について国際標準であるHACCPを取り入れることとなり、食品衛生法が改正されました。

 

 

HACCPへの対応  HACCP義務化の対象となるのは「原則として全ての食品等事業者」つまり、食品の製造・加工・調理・販売などに関わる事業を行うすべての事業者です。

 HACCPの導入においては、以下の「7原則12手順」を行うことが求められています。

 7原則12手順.jpg

 出所)厚生労働省「食品製造におけるHACCP入門のための手引書[乳・乳製品編] 第3版(平成27年10月)」
    https://www.mhlw.go.jp/file/ 06-Seisakujouhou-11130500- Shokuhinanzenbu/0000098990.pdf

 上記は、原則を示したものであり、すべての食品企業に共通となる考え方ですが、その分抽象的な内容となっています。また、実際には業態や流通の状況に応じて食品安全のリスクは異なり、したがって求められるHACCPのレベルも異なります。より現場に即した取り組み内容を示すべく、厚生労働省や業界団体は、各業態に適した具体的なHACCP導入の考え方を示した手引書を策定し、順次インターネット上で公開しています。食品企業は、厚生労働省に認められた業界団体の手引書を活用してこれに準じた管理を行うことが推奨されています。

 なお、ISO22000など民間や自治体の認証制度にもHACCPは含まれていますが、HACCP制度化では、認証の取得までは求められていません。手引書を活用して、HACCPに自ら取り組み、文書を作成し、これに則って管理を行い、その記録を残していることが必要となります。


HACCP制度化への対応を「HACCPナビ」がご支援します!

 実際にHACCPを導入しようとする場合、上述の通り、各業界団体の策定した手引書を読み、これに基づいて対応を進めることになります。しかしながら、手引書を読み解いてHACCPを理解し、自ら科学的な妥当性を確認しながら、文書を作成していくことについては、多くの場合、非常に時間と人手がかかります。ただでさえ、人手不足に悩む食品業界において、HACCP対応のために人を増やしたり、多くの時間を新たに割くことは容易ではありません。

 したがって、HACCP導入の作業を効率的・効果的に進められるよう、一連の作業をご支援する情報システムとして、アイネスと三菱総合研究所は「HACCPナビ」を共同開発いたしました。
※「HACCPナビ」は商標登録及び特許の出願中です。

 HACCPナビでは、必要な書類作成を支援するナビゲーションシステムを具備し、HACCP構築、運用の際に必要な情報を参照しながら、科学的根拠に基づいたHACCPプランの作成・保存を可能にします。HACCPの肝となる危害要因分析では、原材料や工程に特有の危害要因の候補を示したり、関連する法規制を示したりと、はじめてHACCPを導入する事業者様をサポートする機能を搭載しています。さらに、諸外国の状況を確認できるハザードデータベースの機能も有しており、書類作成支援に留まらないサービスとなっています。

 また、HACCPで求められる記録についても、スマートフォンやタブレットを用いて記録し、保存することができます。作成・蓄積した文書や記録データは、帳票として吐き出し、監査の際にも活用できます。

 多くの企業がHACCPで要求されるHACCPプランをエクセルなどの電子ファイルで作成していますが、HACCPの本質ではない、図をきれいに作るという行為だけでも非常に手間がかかっています。HACCPナビは、HACCPに特化した文書作成の支援機能を持つことで、このような作業をできるだけ効率化し、企業のコストを削減します。また、規制情報や科学的知見をガイドとして提示することで、科学的な知見をベースにしたHACCPの導入を促し、食品安全レベルの実質的な向上をご支援します。

 蓄積された文書や記録はあらかじめ認められた関係者間で共有できます。本社と事業所など離れた場所であっても、一緒に文書を作成したり、確認することもできます。また、作成した文書について、取引先やコンサルタントと共有することも可能になります。

 HACCPナビを活用いただくことで、2社監査やコンサルティングを受ける際に、あらかじめ文書を確認することが可能になるため、現場の監査やコンサルティングの際に、効率的に時間を使うことが可能になります。

 HACCPナビは、これらの機能のご提供により、無駄な作業をできるだけ減らし、実質的に食品安全レベルを高めることにより、食品業界全体の安全コストの最適化に貢献します。

 食品企業の皆様におかれましては、今後HACCP制度化対応を本格的に進められることとも思いますが、HACCP制度化への対応方法も含め、質問等、お気軽にお問い合わせください。

 


「HACCPナビ」プロトタイプ版 
 無償提供中!!
 現在、HACCPナビの一部機能を構築したプロトタイプを、食品メーカー様に無償利用頂いております。プロトタイプは、製品説明書、フローダイヤグラム(工程図)、危害要因分析表、CCP管理表を作成することができます(ナビゲーション機能やハザードデータベース等は備えておりません)。ご利用を希望される食品メーカー様は以下にお問い合わせください。申込書をPDFファイルにて送付させていただきます。

【お問い合わせ先】
 株式会社三菱総合研究所
 イノベーション・サービス開発本部(ISU)
 HACCPナビ・プロト事務局  
 ◆メールアドレス:info-haccpnavi-prot@mri.co.jp
 注)ユーザ数に限りがございます。申し込みを頂いてもご希望に添えない場合がございますので予めご承知おきください。

【ニュースリリース】
三菱総合研究所とアイネス、“HACCPナビ” を2020年に提供開始 -HACCP制度化に対応する食品関連事業者向け支援サービス

 


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