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近い将来、身近な存在になるかもしれない「仮想通貨」の基本を押さえておこう

近い将来、身近な存在になるかもしれない「仮想通貨」の基本を押さえておこう

昨年(2017年)末の高騰から今年1月17日の一晩で40%近くも暴落して投資家を中心に注目を集めた「ビットコイン(Bitcoin)」。そして、1月26日に580億円分の外部流出事件が発生して多くの人が知ることとなった「ネム(NEM)」。

利便性が高く新しい決済方法として注目されている仮想通貨ですが、このような報道を耳にして、仮想通貨に対して否定的な印象を受けた方も多くいるのではないでしょうか。少し遡りますが、2014年に起きた「マウントゴックス事件(預けられていた約470億円分のビットコインが消失)」を受けて、「仮想通貨」から離れる人も多かったようです。

値動きの激しさやマネーロンダリング(資金洗浄)への悪用など懸念が多い仮想通貨ですが、今年3月にアルゼンチンで開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の議題の一つに取り上げられる見通しで、その内容が世界における仮想通貨のあり方を一気に方向付けるものと思われます。

日本では今のところ投機目的で買う人が多いようですが、メガバンクが独自の仮想通貨を創設する動きもあり、仮想通貨が私たちの生活圏に入ってくる日はそう遠くはなさそうです。

今回は、仮想通貨と法定通貨との違い、仮想通貨のメリット・デメリット、主な仮想通貨の特徴といった基本を見ていきましょう。

仮想通貨のはじまりは? 法定通貨とどう違う?

仮想通貨と円やドルなどといった法定通貨との最大の違いは発行元と言えます。法定通貨の発行元が国の中央銀行や政府であるのに対し、仮想通貨の発行元は民間企業(いわゆるフィンテック企業)となります。紙幣や硬貨のような実体を持たず、インターネットのなかに存在する仮想的な通貨ですが、これに対応する店舗であれば、法定通貨と同じように使用することができます。

2018年1月現在で最大の市場規模を誇り、仮想通貨の代名詞とも言えるビットコインは、2008年1月にナカモトサトシと名乗る人物がインターネット上にその論文を載せ、翌年そのプロトタイプのプログラムを公開したのが始まりと言われています。興味を持った世界中の技術者によって次々と書き換えられて、今のかたちに落ち着いたようです。

当初は何の価値もないおもちゃのようだったものが、2010年、ビットコインのコミュニティでフロリダに住む技術者が、「1万BTC(ビットコイン)とピザを交換しよう」と持ちかけ、その話に乗った別の技術者が1万BTCと交換で宅配ピザをその技術者に届けたことでお金としての価値が生まれたというのが通説です。

国も政府も介入しない通貨にいち早く目を付けたのが闇取引の市場でしたが、結果的には摘発されニュースとして報道されました。このニュースを見て、手数料がほぼかからず瞬時に送金できるというメリットに気付いたのが、国内の送金手数料も高く日数もかかっていたアメリカ国内の人々でした。また、2013年にキプロス共和国で起きた金融危機を受け、キプロス政府が発行する紙幣が紙切れに変わってしまうと思った人々や、自国の通貨を信用できないアルゼンチン国民、自国の通貨規制を潜り抜けたい中国国民が政府不在のビットコインを買い求めビットコインの価値は徐々に上昇し、2010年に8セントだった1BTCは、2013年には1,200ドルにまであがりました。

仮想通貨のメリット・デメリット

仮想通貨のメリットとして、まず、海外でも、通貨のように両替をせずに、そのまま使えるという利便性が挙げられます。両替が不要ということは、為替レートを考えずに海外旅行へ行ったり、海外の企業に投資したりということも可能になります。

また、送金手数料の安さもメリットのひとつです。曜日や時間帯によっては高額な手数料が取られる従来の通貨とは異なり、いつでも安価にスピーディに送金できるという点は魅力的です。海外送金の際も、銀行から送る場合に比べて数十分の一の手数料で送ることができます。

ビットコインのような既存の仮想通貨だけでなく、地域で独自の仮想通貨を作り、地域の経済活性化につなげようという取り組みもあります。これも、広い意味では仮想通貨のメリットのひとつに数えられるでしょう。

投機目的で考えた場合、さまざまな投資先に分散することでリスクヘッジを行う「分散投資」のひとつとして有効であるというメリットもあります。株式投資や外貨投資などのように、投資先のひとつとして仮想通貨投資を行うということです。

一方、デメリットは国や政府の保証のない通貨ですので、保有者自身の責任のもとで使用しなければいけない点です。リスクを分散するために複数の取引所を利用するなどの工夫が必要です。また、インターネット環境に不具合があれば取引ができなくなりますので、使用できるATMなどをチェックしておくことも大切です。

1,500種類以上も存在する仮想通貨のなかから代表的な3種類を紹介!

2018年1月現在、世界の仮想通貨の種類は1,500種類以上もあるといわれています。 そのなかから代表的な3種類の仮想通貨について簡単にご紹介します。

ビットコイン

世界で最初に作られた仮想通貨で、2018年1月現在、市場規模がもっとも大きい(2018年1月現在:33.2兆円)仮想通貨です。2009年時点では、1BTC(ビットコイン)は1円にも満たなかったのが、2017年末には一時期219万円を超えるほどまで高騰しました。

日本では、大手家電量販店での買い物や公共料金の支払いにビットコインが使えるようになるなど、ビットコインで買い物ができる店舗やネットショップが少しずつ増えていますが、利用できる機会はまだ少ないといえます。

ビットコインの人気によりシステムへの集中が問題視されており、懸念したコミュニティメンバーがブロックチェーンを意図的に分岐させた結果、ビットコインキャッシュ、ビットコインゴールドといった新たな仮想通貨が生まれています。

イーサリアム(イーサ)

ビットコインに次ぐ市場規模を誇る(2018年1月現在:7.4兆円)のがイーサリアム。イーサリアムはヴィタリック・ブテリンというロシア生まれのカナダ人が創設した「ブロックチェーンを使って新たな分野に応用していく」ことを目的としたプロジェクト名で、正確な仮想通貨名は「イーサ」といいます。ヴィタリックは19歳という若さでイーサを考案しました。仮想通貨に特化した最初の出版物とされる『Bitcoin Magazine(ビットコインマガジン)』で執筆していた経歴を持ちます。

ブロックチェーンを用いた契約「スマートコントラクト」で、過去に交わされた契約内容をネットワーク上に半永久的に保存することができるため、不動産や保険など、権利の移転が発生するさまざまな分野での応用が期待されています。

2016年6月、イーサリアムプロジェクト内で作られた新たな仮想通貨「the DAO(ザ・ダオ)」のバグを不正利用したハッカーにより、350万イーサ(当時のレートで約65億円相当と言われている)が盗まれるという事件が起きました。これに対するヴィタリックの対応に反対するプロジェクトメンバーが分裂し、「イーサクラシック」という仮想通貨が生まれています。

リップル

リップルは、アメリカのフィンテック企業リップル社によって発行されている仮想通貨で、ビットコイン、イーサに次いで第3位の市場規模を誇ります(2018年1月現在:2.9兆円)。リップルというのは会社名で、仮想通貨名としては正確にはXRPです。

XRPの特徴は、ビットコインよりも決済スピードが早いこと。ビットコインは、仕組み上10分ごとに同期されますが、XRPでは数秒で決済ができるのです。

また、通貨間の橋渡しとなるブリッジ通貨の機能を持つため、日本のメガバンクや世界の主要金融機関がリップルと提携を進めています。

仮想通貨のこれからに注目

現在日本国内では、東京を中心に外貨両替店やカフェなどにビットコインATMが設置されており、2020年のTOKYOオリンピックを見据えて増えていくと思われます。2018年3月にはみずほフィナンシャルグループやゆうちょ銀行などがすすめる新しい仮想通貨「Jコイン(常に円と等価交換ができる)」の実証実験を行う計画が発表されています。また、今後は資金調達を目的に独自の仮想通貨を発行する「ICO(イニシャル・コイン・オファリング)」が活発になるともみられています。

新しい技術を使って生まれた仮想通貨が、人々にとって便利で安全に利用できるものとしてどのように発展していくのか、今後の動向に注目が集まります。


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