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自治体クラウド待ったなし!コストを抑えて、より安全・便利な住民サービスを目指す。

自治体クラウド待ったなし!コストを抑えて、より安全・便利な住民サービスを目指す。

民間企業のクラウド利用が進むなか、総務省は、地方公共団体におけるクラウドの共同利用を促進し、経費削減や住民サービス向上を目指す方針を平成29年11月に開示した「第28回 電子行政分科会」の資料で示しています。
電子行政分科会の資料(首相官邸ホームページより)


住民の個人情報や各自治体の住民基本台帳・税務・福祉に関わるデータをクラウド化することにより、災害などから行政情報を保全する狙いも込められています。


今回は、総務省が公開している電子行政分科会の資料をもとに、自治体のクラウド共同利用が推奨されている背景やメリット、今後の動向についてみていきましょう。



総務省が自治体のクラウド利用・共同利用を進める背景と必要性

従来、各自治体では庁舎内に設置されたコンピューターで、自治体ごとに構築された個別のシステムを用いて業務処理を行ってきました。これらの情報システムや、住民基本台帳・税務・福祉といった行政データを外部データセンターにて管理・運用し、システムに関しては複数の自治体で共用するというのが、総務省の推進するクラウド利用および共同利用です。

 

自治体クラウドの導入に期待される効果

総務省が掲げているクラウド利用による効果は以下の4点です。(前述「電子行政分科会の資料」より)

1. 情報システムの運用コストの削減

2. 集中監視による情報セキュリティ水準の向上

3. 庁舎の被災時や事故時における業務継続

4. クラウド共用への参画自治体間での業務の共通化・標準化

運用コストについては、試算ではクラウド移行前に比べて3割程度削減できるとしており、削減したコスト(費用・人的資源)を有効活用することで、住民サービスの質を向上させることが可能だとしています。

総務省が平成30年3月30日に発表した調査結果によれば、日本全国1,741の市区町村が情報システムにかける費用は4,786億円(平成29年度当初予算額)。これを住民一人当たりに換算すると3,742円になるといいます。仮にこれらの費用が3割カットできるとすると、その金額は1,435億8,000万円にものぼります。

また、東日本大震災の経験から、行政データを堅牢なデータセンターで管理するべきという考え方も広まっています。自然災害などによる被災時の業務継続性という観点からも、自治体のクラウド利用・共同利用の必要性は高まっています。

自治体がデータセンターを共同クラウドに移行するメリットとは?

自治体の立場から見た場合、クラウド利用や共同利用を行うことで得られるメリットは、総務省が目指す効果と重なる部分が大きいですが、主に以下の3点となります。

1. 情報システム運用にかかるコストを削減できる

2. 情報セキュリティレベルが向上する

3. 被災時などでも重要業務を継続できる

まず、同一システムを共同利用することで、これまでは自治体が単体で負担してきたシステムの改修費用や運用費用を利用自治体で分散して負担することになるので、費用を削減することができます。削減された費⽤を他の分野で有効活⽤し、より質の⾼い住⺠サービス提供が可能になるというメリットも期待できます。

また、外部の堅牢なデータセンターを利用できるため、情報漏えいやマルウェア、標的型メール攻撃などを始めとするサイバー攻撃に備え、常時高いレベルで監視することも可能となります。堅牢なデータセンターは建物の耐災害性も高く設計され、災害による停電に備えて自家発電が備えられているなど万全な災害対策が施されています。万が一被害があった場合も、復旧・修復対策フローが整備されており、影響を最小限に抑えられるようになっています。

災害時こそ、情報の迅速な把握や避難指示、支援要請、復興など、自治体に求められる役割は増えることから、被災時でも業務を継続できることは大きなメリットでしょう。

総務省が描く自治体クラウド利用の将来構想

総務省は、前述の「電子行政分科会の資料」の中で、2017~2020年にかけての「地方公共団体におけるクラウド導入に係るロードマップ」を公表しています。

地方公共団体におけるクラウド導入に係るロードマップ

地方公共団体におけるクラウド導入に係るロードマップ

これによれば、2017~2018年の2年間で国や自治体、ソフトウエア会社などが参加する検討会を開催して具体策を取りまとめ、2019年にはこれに基づいた自治体クラウド化を推進、2020年以降は共同利用の規模の拡大を図りながら、全自治体でのクラウド利用を目指すとしています。すでに単独でクラウド導入済みの自治体には、共同クラウドへの利用切り替えを促す方針です。

クラウド共同利用の目的のひとつである災害対策においては、グループごとの相互支援協定を視野に入れています。相互支援協定とは、災害時の行政業務を継続するため、グループ内で「人(職員)・物(PC、システム)・場所(庁舎)」を相互に連携し、グループ内のどこでも罹災証明書を発行できるようにするというもの。クラウド共同利用と相互支援協定をセットで導入するように働きかけていくことで、将来的にはすべての自治体がいずれかのグループに属し、自治体クラウドと相互支援協定に加入することになりそうです。

まとめ

平成30年6月15日に行われた高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 官民データ活用推進戦略会議に出された「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(案)」には、平成35年度末までにクラウド導入団体数については約1,600団体に、複数団体による共同化を行う自治体クラウド導入団体数については、約1,100団体となるよう取り組むこととすると記載されています。
世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(案)(首相官邸ホームページより)

今後、「クラウド・バイ・デフォルト原則」のもと、地方自治体システムのクラウド化へのスピードは一層早まるものと思われます。

アイネスは、クラウド対応の地方自治体向け基幹システムで、地方自治体システムのクラウド化をご支援しています。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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