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データサイエンティストが足りない? ~企業に求められるデータサイエンティストとは~

データサイエンティストが足りない? ~企業に求められるデータサイエンティストとは~

BI(ビジネス・インテリジェンス)※1やデータドリブン※2といった、ビッグデータ※3を経営に活用する手法が現れてから10年近くが経ちました。

※1 BI(ビジネス・インテリジェンス)
企業の各部署がそれぞれに蓄積している膨大なデータを、収集・蓄積・分析・加工し、経営戦略のための意思決定に活用する手法。そのためのソフトウェアや情報システムをBIツールあるいはBIシステムという。

※2 データドリブン
得たデータを総合的に分析し、未来予測や意思決定、企画立案などに役立てること。

※3 ビッグデータ
膨大かつ多様で複雑なデータのこと。日々生成されるデータの集合を指し、単に膨大なだけではなく、非定形でリアルタイムに増加・変化するという特徴を持ち合わせている。

ビッグデータからビジネスに活用する知見を引き出す人材は「データサイエンティスト」と呼ばれています。いまや、ビッグデータをいかに活用するかは企業にとって存続を左右するほどの重要な課題であり、データサイエンティストのニーズが高まっています。 2013年には「一般社団法人データサイエンティスト協会」が設立され、必要なスキルや知識の定義、育成のカリキュラム作成、評価制度の構築などが行われています。

これからデータサイエンティストを置こうと検討されている企業には、

  • ①新規採用
  • ②社内育成
  • ③外部委託
  • ④AI

の4つの選択肢が挙げられます。

今回は、データサイエンティストを取り巻く動向について解説し、それぞれの選択肢についてご紹介していきます。

データサイエンティストとは

データサイエンティストは、企業に関するさまざまなデータを収集し、必要に応じて加工したり組み合わせたりしたうえで、データの解釈を行ったりデータから価値を創出する仕事を担います。一言で言えば、ビジネス課題に対し膨大なデータを分析・活用して解決策を導き出すことのできる人材、と言えるでしょう。

一般社団法人データサイエンティスト協会によれば、データサイエンティストに必要なスキルは、

  • ①ビジネス力:ビジネス課題を抽出・解決する力
  • ②データサイエンス力:統計学の知識を持ち、最新の分析手法やAI(人工知能)の論理展開を考案する力
  • ③データエンジニアリング力:データを分析するための仕組み(システム)を実装する力

の3つだとされています。

単にデータの分析スキルがあるだけでなく、データから導いた仮説や根拠を経営の課題解決や意思決定に活かすため、ビジネスにも精通しているなど「総合力」が求められます。

データサイエンティスト需要増加の背景

冒頭でふれたような「膨大なデータをビジネスに役立てる」手法が浸透し、データサイエンスの重要性を実感する企業が増えてきました。当初は、トレンド・キーワードのような扱いを受けていたビッグデータやデータドリブンでしたが、実際の効果が得られることが分かり、これまでの手法で解決できなかった課題を、データを活用して解決しようという動きが活発化したのです。

これに伴い、「データ活用の専門家」としてデータサイエンティストの需要が増加してきました。

データサイエンス分野での人材不足

経済産業省が発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によれば、データサイエンス分野に限らずIT全般の人材が、2015年時点ですでに約17万人不足しています。

さらに、「今後注目すべき先端IT技術」の今後の拡大見込トップ3は、順に「ビッグデータ」「IoT/M2M」「AI(人工知能)」となっており、今後、データサイエンス分野での人材不足が深刻化することが予想されます。

冒頭でデータサイエンティスト獲得手段として4つの選択肢を挙げましたが、

①新規採用は、国内では困難であるとみられています。欧米ではデータサイエンス人材の養成課程が充実しているものの、日本では滋賀大学が2017年に日本初のデータサイエンス学部を立ち上げたほか、2018年に横浜市立大学や広島大学が新設していますが、学べるところはまだ少なく、人材を採用できるまでにはまだ数年待たなくてはなりません。

②社内育成としては、今年、大手生命保険会社や電機メーカーが相次いでデータサイエンティストの人材育成を行うことを発表していますが、こちらも数年がかりです。また、育成のための研修プログラムを検討するにあたり、結局はデータサイエンティストに近しい人材が必要となり、採用または外部委託することになるでしょう。

③の外部委託先としては、ITコンサルティング会社などがありますが、データサイエンスに関する知見が社内資産として蓄積しにくいというデメリットがあります。

④AIを活用した分析プロセスの自律化、については次項でご説明いたします。

機械学習を用いた分析プロセスの自律化

④は、データ分析に人ではなくAIの機械学習を用いる方法です。自社単独で取り組める企業は一部なので、ベンダーの力を借りることになりますが、分析システムは会社の資産として残りますし、運用担当者のトレーニングも含めてサポートしてもらえれば、ノウハウも蓄積されていきます。

また、前章でデータサイエンティスト人材不足の予測についてご紹介しましたが、将来的にデータサイエンティストの仕事の大半はAIに取って代わられるという見方もあります。人からAIへと完全移行することはないとしても、単純作業や既知のデータ解釈についてはAIに任せることで、人は未知のデータの解釈のみに注力できるようになるでしょう。

こうした見通しを踏まえると、AIを活用し運用できるような高レベルのデータサイエンティストの採用・育成に取り組むとともに、機械学習を用いた分析プロセスの自律化に本腰を入れるというのが、望ましい選択肢と言えそうです。


アイネスグループでは、データサイエンスやAIに関するご相談をお受けしております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。




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