公開日
更新日
製品やサービスを紹介したり販売したりしているWebサイトにアクセスした際に、ポップアップで「ご質問はありませんか?」「ご購入をお考えですか?」「お気軽にご相談ください」といった表示が現れたことはありませんか?それらは、最近多く見受けられるようになったチャットボットを活用したWeb接客かもしれません。
チャットボットを使うことで人手を介さずにカスタマーサポート対応ができるため、業務効率化や接客の対応力の向上など、さまざまな効果が期待されています。
今回は、チャットボットを活用して「働き方改革」を実現するためのヒントをご紹介します。
チャットボットとは、テキスト(文字情報)や音声を介して人と対話することを目的に作られたプログラムのことです。登場したのは1960年代頃ですが、2016年頃から多く活用され始め、顧客や見込客からの問い合わせに対応するオペレーターなどの担当者の人件費をカットできるとあってBtoCを中心に広く浸透しました。
チャットボットには「人工無能タイプ」と「人工知能タイプ」があります。人工無能タイプは、現在のチャットボットの主流となっており、特定のキーワードに対する返答があらかじめシナリオとして決められています。人工知能タイプは、キーワードだけではなく文脈などから質問の意図を理解して受け答えを行いますが、事前に大量のデータを使って学習させておく必要があります。
チャットボットを活用することで、具体的には以下のようなサービスの提供が可能です。
<カスタマーサポート>
<エンゲージメント>
<コンサルティング>
最終的にユーザーの求める情報が得られなかったときのために、オペレーターなどへつなぐ導線をつけておくことで、「あらかじめインプットされていない情報は提供できない」というチャットボットの弱点を補完できます。
社内の既存システムと連携ができるチャットボットなら、保有データを活用できるため運用初期のハードルも下がるでしょう。逆に、チャットボットの導入を機に社内のナレッジをデータベース化する場合は、その過程で暗黙知が形式知に変換され、組織の資産として共有化にもつながります。
チャットボットを導入することで、まず、自動化により人件費の削減が期待できます。また、24時間365日稼働できるため、営業時間外でもお客様からのお問い合わせに対応することができます。
お客様(利用者)側からみると、電話よりも気軽なことでハードルが下がり、問い合わせがしやすくなります。企業側からすれば顧客接点を増やせるというメリットがうまれます。また、電話やメールに比べて回答の提供がスピーディなため、顧客満足度の向上にもつながります。
働き方改革が目指す最終的な姿は「誰もが活躍できる社会」「多様な働き方ができる社会」ですが、その実現のために取り組むべき課題の一つに、残業時間の削減・長時間労働の是正などがあります。人の代わりにプログラムが応答してくれるチャットボットをうまく活用することで、働き方改革を推進することができるのではないでしょうか。
BtoCから広がりを見せたチャットボット活用は、いまやBtoBにも浸透し、業界を問わずさまざまな用途に利用されています。ここでは、業界ごとに代表的な活用方法をご紹介します。
住民の多様なニーズに応えることが求められている地方自治体は、財源不足とのジレンマに頭を悩ませています。チャットボットは、それを解決に導く可能性を秘めています。
主な用途は、住民からの行政サービスに関する質問への回答や書類手続きなどの申請受付で、窓口の営業時間外に柔軟に対応できることが最大のメリットとなっています。
もう一つチャットボットが担っているのが「親しみやすさ」の演出です。堅苦しくわかりにくいイメージの行政サービスを、親しみやすいキャラクターのチャットボットを活用することで身近に感じてもらえるように努めています。渋谷区などでは、子供向けに子供の市民キャラクターを作り、ゲームや画像加工といった遊びの要素も提供しています。
金融・保険業では、チャットボットの質問に「はい」「いいえ」で答えていくと最適な金融商品や金融サービスを案内してくれるサービスや、資産運用や保険に関する相談に応対してくれるサービスとして活用されています。
チャットボットの導入により、スマートフォンやメッセンジャーアプリに使い慣れた若年層、忙しい主婦・ビジネスパーソンといった保険ニーズの高い顧客層へのリーチを実現しています。
導入後も、蓄積された利用内容データから顧客ニーズや顧客満足度などを分析できるため、サービス改善や業務プロセスの見直しなどにつなげていくことも期待できます。
配送業においては、集荷や再配達の受付を行うサービスにチャットボットが活用されています。
小売業においては、消費者のニーズに合った商品選びを手伝ってくれるコンシェルジュなど、接客に重点を置いたサービス提供が中心に展開されています。
製造工程におけるチャットボット利用としては、音声認識機能を使い、作業員の両手がふさがっている状況でも、稼働状況や設備機器の停止理由を確認できるようになるなど、今後はRPAとも連動して、声でチャットボットに命令してロボットを動かすという活用法が期待されています。
カスタマーサポートでの活用では、製品の故障をエラーメッセージから診断し、修理の予約までをチャットボットで行えるサービスや、プレゼントキャンペーンへの応募受付などがあります。
リアルで提供されるサービスに関しては、見積依頼、予約などを24時間365日チャットボットで受け付けるサービスが散見されます。
Webサイト上などバーチャルで提供されるサービスでは、チャットボットに話しかけることで食材から最適なレシピの提案を受けたり、行きたい場所への乗り換え案内情報を得るなど、ユーザーの「検索疲れ」を解消するために会話のなかで情報を提供するという用途と、ゲームキャラクターとの会話が楽しめるといったエンゲージメントを高めるためのサービスが特徴的です。
また、業界を問わない活用法として、従業員向けの社内ヘルプデスクがあります。管理部や情報システム部など、社員からの問い合わせの多い部門では、チャットボットに対応させることで業務負荷を軽減したり残業を減らしたりすることができ、企画要素の高い業務に集中できるようになるでしょう。
ほかにも社内向けの活用法として、会議室などの施設予約や、出勤時の打刻(勤怠管理)などがあります。
ここで、本題である「働き方改革」につながるチャットボット活用事例を3つご紹介します。
横浜市では、それまでコールセンターで受けていた市民からのごみ分別の問い合わせに、チャットボットを導入しました。出したいゴミの名前を入力するだけで、分別方法を教えてくれるというのが基本機能となっており、クイズなども提供しています。
導入後10ヵ月で203万件の利用があり、このうち5割がコールセンターの受付時間外での利用だったといいます。ランニングコストは、コールセンターの数百分の一でした。
深夜や休日などにオペレーターを雇用したり委託したりすることなく、さまざまなライフスタイルの市民ニーズに応えることに成功した事例です。横浜市では、他分野での活用も視野に入れているということです。
(出典)https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/gomi-recycle/gakushu/chatbot.html
ネット通販事業やECカート事業、ECコンサルティング事業などを手がけている株式会社ECスタジオでは、自社で運営するサプリメントなどを取り扱うECサイトでチャットボットを導入し、導入から3ヵ月でオペレーターによるお問い合わせ対応を35%削減することに成功しています。
オペレーターの負担が減ったことにより残業が減っただけでなく、対応スピードの向上やミスの低減にもつながったといいます。チャットボットは、新人オペレーターの教育ツールにも活用されているそうです。
(出典)https://ai.userlocal.jp/document/casestudy/ecstudio/
製品の故障診断サービスにもチャットボットを活用しているダイキン工業ですが、情報システム部に対するメール設定やネットワーク不具合などの問い合わせ対応にも活用しています。
導入後は、1日100件以上もの問い合わせにチャットボットが対応し、質問した側の社員の解決率は85%と高水準だそうです。
(出典)https://www.exiis-lab.com/case-case/case-detail01-case/
チャットボットが日本で本格的に活用されはじめてから2年ほどが経ち、その間に機能が充実し、用途も導入業界も広がりを見せています。とくに、社員向けサービスは「BtoE」(Bussiness To Employee)とよばれ、注目されはじめています。チャットボットを社内サービス向上に上手く活用することで「働き方改革」の実現を助けてくれるでしょう。社内業務に課題を抱える企業様は、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。
弊社は、情報サービスのプロフェッショナルとして、システムの企画・コンサルティングから開発、稼働後の運用・保守、評価までの一貫したサービスと公共、金融、産業分野などお客様のビジネスを支える専門性の高いソリューションをご提供しています。お気軽にご相談ください。