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ERPの導入にあたって想定外の問題に直面してしまった、期待した効果が得られていないなどの問題や不満は、企業にとって大きな経営課題です。満足のいく効果を得ている企業は、どのようなことに取り組んだのか。ERP導入にあたって発生した問題を、私たちアイネスのソリューションで解決されたお客様の事例(※1)などを基にご紹介します。
目まぐるしく変化するビジネス環境や多様化する顧客ニーズに応えながら市場において優位性を保つために、企業システムは追加や改修が行われ、常に最適化が求められてきました。
20数年前からは、生産管理・販売管理・人事・会計などの個々の基幹系業務システムを統合管理する手法が登場し、統合基幹業務システム(ERP)が注目されるようになりました。整合性のとれた統合データベースでさまざまなデータを一元管理することでリアルタイム経営が実現でき、内部統制強化も果たせるなど、企業全体を一貫した仕組みで業務構築できる汎用型ERPは、大企業を筆頭に導入が進められました。
ところが、ERPの導入に成功し当初の目的を果たしたものの、業務を進めていく中でユーザー部門に大きな負担が生じるといった新たな問題が見受けられるようになりました。
例えば、他のシステムとの連携や日々発生するマスターデータの追加・改廃などがシステム担当部門の大きな負担となっているというケースです。
汎用型ERPのマスターデータは、非常に多くの項目から構成されています。また、マスターデータには、品名や得意先住所といったマスター情報のほかに、システムのプロセスを制御するための制御情報も含まれています。そのため、マスターデータを正しく入力するためには、業務知識だけでなく、ERPシステムの知識も必要となります。そのため、情報システム部門がユーザー部門をサポートして入力・管理を実施している企業が多く見受けられます。
このような状況で以下のような問題が発生し、システム担当部門を悩ませることとなりました。
①マスターデータ管理業務の属人化
マスターデータのメンテナンスを行うには、専門的な業務知識以外にERPのマスターに関する知識が必要なことが多く、両方を理解している人間が限定されることから、当該メンテナンス業務は属人的になる傾向が強い。
(例:ある企業の中国拠点でマスターデータのメンテナンス要員として育成した社員が退職した際に、その社員以外誰もメンテナンスできないことが判明。日本から情報システム部門のメンバーが半年間、中国に常駐して対応せざるを得なかった。)
②多額の経費負担
業務ユーザーから申請のあったマスターデータをチェックしシステムに反映する、という作業のためだけに、人材派遣サービスを利用している企業もあります。
③監査対応が不十分
監査機関からの指摘として以下の例があります。
・マスターデータの責任部門である業務部門が直接システムに入力せず、情報システム部門が代行入力している場合、業務部門が承認したデータが改ざん等されていないことを担保できるのか
・業務部門の担当者と承認者、および情報システム部門との間でのデータのやり取りをエクセル等の一般的なデータハンドリングソフトを用いたファイルで行っている場合、データの改ざんを制限・把握することができず、何かあった場合でもトレースすることができない
導入した新しい業務の仕組みの下で日常業務がどう変わるか。
部門間の職務分掌や統制などをどうするかといった検討は、ERPのカスタマイズにも影響するため、要件定義フェーズで十分に行われたものの、新業務フロー下で導入後の業量や負荷がどうなるか等の踏み込んだ事前の議論や検討がなされなかったケースがしばしば見られます。悪くすれば、導入後、会社全体で期待効果が得られたものの、システム担当部門においては逆に予想外に業量が増えてしまうといった困った状態が生じることになります。
例えば、使用するマスターに関係する全部門に習熟した担当者を配置し登録等の管理をそれぞれで行うことを避け、情報システム部門に集約したものの、更新頻度やデータ量が多く負荷が増大してしまったということが挙げられます。
マスターデータを管理する仕組みを導入することで得られる効果として、以下のようなことが挙げられます。
①属人化の解消
②マスターデータの整合性の維持
③マスターデータの維持にかかっていた人材や費用の適正配置
④監査に適合した管理の実現
⑤他システムとの連携やグローバル対応のスムーズな実施
これらを実現した、より質の高いマスターデータ管理を進めるためには、マスターデータの重要性と維持することの困難さ、また、今後のビジネスにもたらす良い影響を社内に訴えることが不可欠です。
【システムのご紹介】
SAP ERP向けマスターデータ管理システム「Aerps Master」のご紹介はこちらをご覧ください。
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