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あらゆる業務がシステムへ依存するようになり、各企業では単一システムではなく、複数のシステムを保有しているケースがほとんどです。
このようなケースでは、システムの運用アウトソーシングやBCP対策として、データセンターにシステムを預ける企業が大半を占めてます。
データセンターへシステムを移す良いタイミングとして挙げられるのがシステム再構築のタイミングですが、全てのシステムが同時期に再構築を迎えるとは限りませんし、個々のシステム再構築のたびに、段階的にデータセンターへ移すことを考えると、結果として作業コストがかさみコスト増になるばかりでなく、経営スピードとのギャップが生じる懸念があります。
アイネスではこれまで、データセンター事業者として、さまざまな業種・業態のお客様のシステム移設をお手伝いしてまいりました。豊富な経験から得たノウハウや押さえるべき要点の一部を「勘所」としてご紹介いたします。
システム移設の主な流れは、[移設計画]→[リハーサル]→[実行]という3つのフェーズからなります。
3つのフェーズのなかで重要となる工程が、[移設計画]です。
この「移設計画」では、移設対象や方法・期間・システムの運用スケジュールや移設する機器の数量(ボリューム)といった基本計画やデータバックアップに注意が集中しがちですが、実はシステム移設での重要事項はそれだけではありません。当社では以下の3点を重要ポイントとして、位置づけています。
①移設前の状態を完全に復元するためのケーブル結線(NW、電源)
→設計との乖離がないか、必ず現物と設計書の整合を確認。
②NW機器の最新の設定(コンフィグ)
→実行中の設定と、保存されている設定に乖離がないよう移設前に設定の保存及びバックアップを実施。
③移設後もシステムを安定的に運用するための運用引継ぎ
→移転後のリスクを最小限に減らすため、運用部門と確認・調整を取って一貫性のある計画を立案する。できれば、変更点については事前に実施・リリースするよう計画したい。
システム移設では、1つのトラブルが発生すると数時間のスケジュール遅延となり、業務開始スケジュールに大きく影響してしまいます。事前準備を怠ることなく進めるため、上記タスクをスケジュール化し実行することが成功への第一歩となります。
立案した計画の精度を高めるため、リハーサルの実施を推奨します。リハーサルでは、実際にシステムを移設しないまでも、その停止・起動手順の確認や所要時間を計測することで、システム移設本番での作業遅延を防ぐことができます。また、長い期間稼動し続けてきた機器を停止してみたら、二度と起動しなかったなどの万一の事象を防ぐことができます。
さらには、重要ポイントとして前述した機器の設定をバックアップするといった、作業を行うタイミングとしても活用できます。
①本番同様の心構えで臨む
事前にリハーサルの対象を明確にしたうえで、本番同様の限られた時間の中で作業内容を確認することができる機会としてとらえる。
②総合リハーサルを行う
可能であれば本番と同時間帯・同体制をとって総合リハーサルを行いたい。機器輸送についても、空の入れ物で同様の動きを確認できれば細かな項目も事前確認ができる。リハーサルができない項目については対策内容を再度確認する。
③本番同様の人員配置
窓口担当や役割などは個人の名前で固定したうえで、応急処置が必要となった場合にも対応できるよう、余裕のある人員配置を心がけたい。
「移設計画」と「リハーサル」で定められた手順どおりに移設業務を実施します。メンバー全員が“準備万端”と言える状態で臨めるように準備を進めましょう。
①俯瞰的な体制図を作る
メンバーの誰が・いつ・どこにいるのかが一目でわかる体制図を作りましょう。メンバーの体調管理に配慮しつつ、メンバーの拠点間の移動は極力ないようにすることが望ましい。
②状況を把握できる仕組みを作る
移設先に本部を設置し、施設間・メンバー間の情報共有を確実にするため、テレビ会議システムなども利用して常に状況が把握できる環境を整えておく。
③本番同様の人員配置
窓口担当や役割などは個人の名前で固定したうえで、応急処置が必要となった場合にも対応できるよう、余裕のある人員配置を心がけたい。
業務遂行のためのシステム依存度が非常に高いなか、システムを停止できる時間がごくわずかとなっている昨今では、移設を安全・安心に行うことが、企業の存続にかかわると言っても過言ではありません。
それらを実現するためのポイントを今回ご紹介しました。より具体的な内容については、弊社へぜひご相談ください。
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