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データクレンジングとは、企業が扱う膨大なデータに含まれる誤りや欠損、重複などを取り除き、活用しやすい状態に整える作業を指します。データクレンジングによって整えられたデータは、分析や意思決定などさまざまな業務を効率化可能です。
とはいえ、データクレンジングには手間と時間がかかるため、「コストをかけてまで、本当にデータクレンジングを行うべきか判断に迷う」といった方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、データクレンジングとはどんなものか、必要な理由やメリット、具体的な進め方などについて解説します。これからデータクレンジングに取り組む場合は、ぜひ参考にしてみてください。
データクレンジングとは、データベースやファイルに蓄積されたデータの中から、誤り・欠損・重複・形式のばらつきなどの問題を取り除き、分析や業務に利用できる状態に整える作業のことを指します。
企業のシステムには、顧客情報・商品情報・売上・アクセスログなど多様なデータが集まりますが、必ずしも最初から完璧な状態で蓄積されるとは限りません。人が手入力するデータであれば入力ミスや漢字・カナの揺れが発生しやすく、外部システムとの連携によって取り込んだデータには形式の違いやコード体系のズレが生じることもあります。
データクレンジングでは、こうした問題を体系的に洗い出し、修正・補完・削除などの処理を行います。具体的には、住所の「1丁目」と「1丁目」のような全角・半角の表記揺れや、「(株)」と「株式会社」の違いを統一したり、電話番号の桁数をチェックして異常値を検出したり、同じ顧客を複数レコードで保持しているものを統合したりといった作業が代表例です。
データクレンジングが重要視されるようになった背景には、「データ活用の前提条件を満たすため」という理由があります。どれだけ高度な分析ツールやAIモデルを導入しても、その元になるデータが不正確であれば、得られる結果や意思決定も不正確なものになってしまうためです。
まず、十分に整備されていないデータを使うと、業務の現場でさまざまな不具合が起こります。「顧客情報の重複により誤った宛先へメールを送ってしまった」などはその典型例です。
データ分析・マーケティング・経営判断といった上流の意思決定にも悪影響が出ます。たとえば、顧客属性が誤っていたり、売上金額が正しく登録されていなかったりすると、セグメント分析やLTV分析の結果がゆがみます。その結果、「本当は有望な顧客を見落としていた」などの事態を招くおそれがあるため要注意です。
近年はBIツールによる可視化や、機械学習モデルによる需要予測・離反予測など、複雑な分析が広く行われるようになりました。ただし、モデルに投入するデータの質が悪いと、精度の低い予測や誤った相関関係を学習してしまう可能性が高まります。
また、個人情報保護法をはじめとした各種規制に対応するには、保持しているデータの内容や正確性を把握し、不必要なデータの削除や更新を行う必要があります。定期的なクレンジングを通じてデータを適切な範囲・品質で維持することが重要です。
データクレンジングを継続的に実施すると、企業にさまざまなメリットがもたらされます。ここでは、とくに押さえておきたい効果として、次の5点に分けて解説します。
・業務の効率化
・データ品質・精度の向上
・意思決定力の向上
・企業の信頼性の向上
・コスト削減
誤ったデータや重複したレコードが多い状態では、担当者はその都度確認や修正に時間を取られてしまいます。データクレンジングによってデータの形式やコード体系を統一し、重複や誤りを取り除けば、日々の入力・検索・照合作業がスムーズになります。問い合わせ対応の手戻りも減り、チェック工数も削減できるため、現場担当者は本来注力すべき付加価値の高い業務に時間を割けるようになるでしょう。
データクレンジングでは、誤った値や欠損値、整合性の取れていないデータを取り除き、一定のルールにもとづいて整備することで、データとしての信頼性を高めることが可能です。
データ品質が高まると、単純な集計やレポートはもちろん、顧客分析や需要予測、在庫最適化といった高度な分析も精度が向上します。これによりデータに基づく議論や意思決定がしやすくなるでしょう。
クレンジングされた高品質なデータは、経営や現場の意思決定にも好影響を及ぼします。
たとえば、売上データと顧客属性情報が正確に紐づいていれば、「どの顧客層からの売上が伸びているか」といった問いに素早く答えられるようになるでしょう。これにより、値引きやキャンペーンの打ち方、新商品の投入タイミング、リソース配分といった意思決定を、勘や経験だけに頼らずデータに基づいて行えるようになります。
正確なデータを基に業務が行われている企業は、顧客や取引先からの信頼を得やすくなります。請求金額の誤りや配送ミスが少ない企業ほど、取引先からの評価は高まるでしょう。
また、監査対応やコンプライアンスの観点でも、データクレンジングは重要です。誰がいつどのようにデータを更新したのかが追跡でき、古い情報や不要な個人情報が適切に削除されている状態であれば、社内外への説明責任を果たしやすくなります。
コスト削減効果が期待できる点もメリットです。データの誤りや重複が原因で発生していた再発送・返金・再作業といった直接的なコストはもちろん、確認・問い合わせ・修正といった目に見えにくい工数も削減できます。
ここでは、データクレンジングを効果的に進めるための、次の5ステップについて解説します。
1. 重要なデータの選定
2. データ収集・整理
3. データクレンジングの実行
4. データの検証
5. ルールの設定と定期的なデータクレンジング
最初のステップは、どのデータからクレンジングするのかを決めることです。企業には顧客情報・商品マスタ・在庫・売上・ログデータなど多種多様なデータが存在しますが、すべてを一度に対象にすると、工数が膨大になり現実的ではありません。
そこで、まずは事業へのインパクトが大きいデータから着手します。具体的には、「日々の業務で頻繁に利用されている」「経営指標やKPIの算出に使われている」「他システムとの連携数が多い」といった観点で優先順位を付けると判断しやすくなるでしょう。
次に、選定した対象データを収集・統合しましょう。複数のシステムや部署に同じ種類のデータが散らばっている場合は、それぞれのデータ構造や項目名、コード体系を確認しながら1つの基準に揃えていきます。
この段階では、データをただ集めるだけでなく、どのシステムにどのような品質でデータが存在しているかを把握することが重要です。欠損が多い項目、表記揺れが激しい項目、古い情報がそのまま残っているマスタなど、問題のある部分を洗い出すことで、後工程のクレンジングの方針が見えやすくなります。
収集・整理が終わったら、実際にデータクレンジングを行います。ここでは、以下のような処理が典型的です。
・不正な値や異常値の修正・削除
・欠損値の補完(推定や外部データ参照による埋め込み)
・表記揺れの統一(全角・半角、漢字・カナ、略称など)
・コード体系の統一(部署コード・商品コードなど)
・重複レコードの検出と統合
クレンジングの作業には、専用ツールを利用する方法と、SQL・プログラム・Excelなどを駆使して行う方法があります。データ量が多い場合や定期的に実施する場合は、専用ツールやETLツールの導入を検討すると効率的です。
クレンジングが完了したら、その結果が正しいかどうかを必ず検証する必要があります。誤ったルールで自動変換してしまうと、かえってデータを悪化させてしまう可能性があるためです。
検証の際には、ビジネスロジックに照らして「あり得ない数値が混ざっていないか」「合計値や件数が急激に変化していないか」といった観点でもチェックします。現場担当者や業務に精通したメンバーと一緒に確認することで、実業務に即した妥当性検証が行えます。
一度データクレンジングをしたからといって、その後何もしなければ、時間の経過とともに再びデータの品質が低下していきます。そのため、入力時の必須項目や形式チェック、マスタ更新の手順、外部データ取り込み時の検査条件など、品質を担保するルールを整備します。半年に一度・一年に一度など、定期的にデータクレンジングを実施するサイクルを設けると、長期にわたりデータ品質を保ちやすくなるでしょう。
本記事では、データクレンジングの概要から、必要とされる理由、具体的なメリット、そして実務での進め方まで解説しました。データクレンジングは、業務効率の向上や分析精度の改善、さらには企業の信頼性や競争力を高めるためのデータ基盤づくりの一環です。
データ活用の重要性が高まるなか、品質の低いデータを放置しておくことは、誤った意思決定や余計なコスト、信用低下といったリスクにつながります。まずは自社のどのデータが重要なのかを見極め、優先順位をつけてクレンジングに着手することが重要です。そのうえで、データ収集・整理、クレンジング、検証、ルール化といったステップを回し続けることで、継続的にデータ品質を高めていけます。
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