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【レポート】2040時代のスマート自治体に向けて取り組むべきこと

【レポート】2040時代のスマート自治体に向けて取り組むべきこと

アイネスは、2019年10月10日(木)~11日(金)に、東京ビッグサイトで開催された「地方自治情報化推進フェア2019」に出展し、総合行政システム「WebRings(ウェブリングス)」を中心とする自治体向けシステム、サービスを展示しました。

本コラムでは、ベンダープレゼンテーションとして、スマート自治体に向けた先進的な取り組みを行う会津若松市と船橋市から総務省地域情報化アドバイザーの伊藤 文徳様と千葉 大右様を講師に迎え「2040時代のスマート自治体に向けて取り組むべきこと」と題して開催した講演内容をレポートいたします。

2040年のスマートシティ化に向けた自治体サービスのデジタル化

2040年のスマートシティ化に向けた自治体サービスのデジタル化

株式会社アイネス 公共ソリューション本部
村井 浩紀

司会を務める株式会社アイネス 公共ソリューション本部 村井 浩紀の挨拶でプレゼンテーションは幕を開けました。挨拶では、自治体のシステムに関する検討会や研究会を10点ほど挙げながら、2040年に向けて政府主導で行われている自治体サービスのデジタル推進について紹介されました。

 

会津若松市におけるスマートシティ実現への挑戦

会津若松市におけるスマートシティ実現への挑戦

会津若松市 企画政策部
秘書広聴課 副主幹・総務省 地域情報化アドバイザー
伊藤 文徳様

会津若松市からは、企画政策部 秘書広聴課 副主幹であり、総務省 地域情報化アドバイザーの伊藤 文徳様が登壇し「会津若松市におけるスマートシティ実現への挑戦」と題した具体的な取り組みとして「タブレットによる住民票の申請」「全住民の住所を位置座標付で登録」の2件が紹介されました。

住民票の申請はタブレットで

会津若松市では、住民票の写し、印鑑登録証明書、戸籍事項証明書(戸籍謄本・戸籍抄本)、戸籍の附票の交付申請(※交付登録しているものに限る)を申請する市民に対し、タブレット端末やタッチパネル端末機による申請を実施しているといいます。

タブレット端末による申請では、職員の指示に従ってタブレットを指でなぞり、署名するだけで申請が済み、従来の申請書による方法よりも簡単に申請が行える同システムを「簡単ゆびナビ窓口システム」と名付けたそう。

伊藤様はもともと総務部総務課電算処理係として入庁後、総務部情報政策課、水道部総務課を経て、2010年(平成22年)に市民部へ異動。窓口で、住民票申請のために市民が申請用紙に四苦八苦しながら記入する姿に疑問を感じ、市民に寄り添ったサービスを提供したいと考えたのがきっかけだといいます。

その後、市民課窓口サービスの向上を目指し、スローガン「お・も・て・な・し」を掲げて取り組みをスタートし、「簡単ゆびナビ窓口システム」が実現されたのだそうです。

住民票の申請はタブレットで

画像引用:当日の登壇資料より引用

市民からの反応も好意的な感想が多く寄せられ、アンケートによる市民満足度調査でも同サービス導入後の満足度が向上しているといいます。

ただし、課題がないわけではないともいいます。タブレットによる申請では、職員が申請者に付きっきりになるため、ほかの来庁者の対応ができなくなります。このため、高齢者や障がい者、子ども連れといった層を中心とした限定的なサービス提供となってしまうからです。また、同サービスを提供するかどうかは各職員の判断に委ねられるため、各市政センターで同サービスの提供件数はバラつきが大きいといいます。

提供すれば喜ばれることがわかっているものの、提供数が限られてしまう点がネックで、今後の運用ルールの改善が課題だといいます。

全住民が位置座標付

つづいて、会津若松市が取り組むもう一つのスマートシティ化の取り組みとして、市民の住民基本台帳に紐づけて住所の位置座標を登録しているといいます。登録の運用としては、日々、窓口業務で入ってきた引っ越しなどの移動情報を、毎夕方に住基データを更新してGIS(地理情報システム)へ反映しているそうです。

これを地図上に表示することで、防災などに役立てているといいます。たとえば、想定最大規模雨量時の浸水想定区域をシミュレーションしたり、コミュニティバスの停留所の検討などに活用しているのだそう。住民説明会でもGISの図示を公表することで、理解を助けることができるといいます。

全住民が位置座標付

画像引用:当日の登壇資料より引用

GIS活用のポイントとして、以下の3点が挙げられました。

  1. 利用者(ユーザー)目線で考える
  2. より小さな単位(集落単位、町内会単位)で考える
  3. 行政・事業者・地域の連携

最後にまとめとして、「スマートシティ実現のために、ICTの力を借りて「楽しく」取り組む」点が強調され、伊藤様の講演は終了しました。

自治体が目指すデジタル・ガバメントの方向性

自治体が目指すデジタル・ガバメントの方向性

船橋市 市民生活部 戸籍住民課
主査・総務省 地域情報化アドバイザー
千葉 大右 様

船橋市からは、市民生活部 戸籍住民課 主査であり、総務省 地域情報化アドバイザーの千葉 大右様が登壇し「自治体が目指すデジタル・ガバメントの方向性」と題して講演がなされました。

デジタル・ガバメントとは、2017年5月30日に「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」が閣議決定され、同日、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議により「デジタル・ガバメント推進方針」が示されました。

さらに、2018年1月に「デジタル・ガバメント実行計画」が、2018年7月には同改定が発表されました。このうち、2018年1月に発表された「デジタル・ガバメント実行計画」では、利用者中心の行政サービス改革の徹底が明記されている点に注目してほしいといいます。

同時に「デジタル・ガバメント実行計画」では、ワンストップサービスも推進しており、行政サービスのみならず民間サービスも含め、他サービスと連携してワンストップ化を図ることが推奨されているといいます。

ワンストップサービスの例としては、社会保険・税手続きワンストップサービスや、介護ワンストップサービス、自動車ワンストップサービスなどがあるといいます。なかでも「死亡・相続ワンストップサービス」「引っ越しワンストップサービス」の2つに優先的に取り組むべきで、すでに実証実験が始まっているといいます。

死亡・相続ワンストップサービス

 

「死亡・相続ワンストップサービス」においては、「おくやみコーナー」および「支援ナビ」の導入が想定されています。
「おくやみコーナー」とは、死亡に伴う保険・福祉などの自治体で行う各種手続きのほか、銀行や法務局など自治体以外で行う手続きの申請書を、職員の支援を受けながら一括作成できる窓口を想定したもので、松阪市が先行して取り組んでいます。
「支援ナビ」は、死亡に伴う自治体での手続きに必要な情報を自治体と連携させるシステムで、市民に必要な手続きや相続の流れといった情報を提供するもの。職員と面接しながらの利用が想定されています。

引っ越しワンストップサービス

引っ越しワンストップサービス

画像引用:当日の登壇資料より引用

一方、引っ越しワンストップサービスは、内閣府のマイナンバー総合サイト「マイナポータル」を活用して行われることが想定されているといいます。マイナポータルを介在することにより、それぞれ複数の自治体と引っ越しポータルが複雑に接続して高コスト化するのを防ぐことができるためだとの説明がありました。

転出手続の電子申請や、来庁して行う転入手続の効率化などのサービス実装に向け、船橋市のほか板橋区や郡山市など9つの自治体が参加する実証実験を行い、成果をガイドラインとしてとりまとめる予定だそう。 ガイドラインは、「企画立案」「準備」「運用」の各段階において手順や留意点を解説したものになることが想定されているといいます。

最後に、デジタル・ガバメントの実現のためには利用者中心の行政サービス改革を行う必要があると強調され、千葉様の講演は終了しました。

アイネスでは、自治体向けWeb型総合行政情報システム「WebRings(ウェブリングス)」を提供しております。 また、24時間365日、監視、帳票出力・加工、配送まで一貫したサービスや、AI・RPA等の最新のテクノロジーと連動させたシステムサービスといったトータルサービスも提供しております。
2040年へ向けたスマート自治体の実現に向け、システムやサービスの導入を検討中のご担当者様は、お気軽にご連絡ください。

※ 本文に掲載されている会社名・団体名および製品名は各社または団体等の商標または登録商標です。
 

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