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MDシステムが本来の役割をはたせているか

MDシステムが本来の役割をはたせているか

小売業の業務を効率化してくれるMD(マーチャンダイジング)システム。すでに導入・活用されている小売企業様も多いでしょう。

ただ、導入から年数が経っている企業様ほど、導入当初の目的と実際の活用が乖離してしまっていても惰性で運用していることに気づいていない可能性があります。
ここで今一度、MDシステムの導入目的を振り返ってみませんか?

本コラムでは、MDシステムの本来の役割について解説いたします。

MDシステムについては、こちらの記事もご覧ください。

【関連記事】MD(マーチャンダイジング)システムとは

MDシステム導入の目的をおさらい

MD(マーチャンダイジング)システム導入は、その名の通り、マーチャンダイジングを支援するシステムです。
マーチャンダイジングとは、「消費者の欲求・要求を満たす商品を、適切な価格・数量・タイミングで提供する」ための企業活動のことです。

MDシステムの導入により、販売データを商品ごと、部門ごとなどで蓄積・分析し、適正価格を割り出して値付けを行い、時には特売も設定し、適切な数量を陳列して欠品しないサイクルで発注することで販売機会を逃しません。

こうしたマーチャンダイジングのコア業務を効率化するだけでなく、本部から各店舗への予算を割り振ったり、店舗で働くスタッフのシフト管理、本部・店舗を総括した財務会計を管理することまで含めて自動化・効率化を実現してくれるのがMDシステムです。

ただし、MDシステムは単にこうした業務を効率化することが本来の目的ではありません。それだけなら、従来の販売管理システムや財務会計システム、勤怠管理システムなどを組み合わせて使えば事足ります。

MDシステムは、「企業の中枢的機能は本社(本部)へ集中させ、店舗(現場)はオペレーションに専念することで、最大の運営効率を挙げると同時にコストダウンを図る」という「チェーンストア理論」に基づく事で本領を発揮します。

消費者の嗜好はますます多様化し、プロダクトライフサイクルは短命化しています。こうした市場を背景に、チェーンストア理論を体現し、店舗と本部でリアルタイムに連携を取りながら経営資源を管理・活用することで、小売店としての競争力を強化することが最終目的なのです。

MDシステムが販促に生かされているか

ここからは、MDシステムの導入効果の中でも、特に影響力の大きな二つのソリューション「販売促進」「適正在庫管理」にスポットを当て、自社でMDシステムを正しく活用できているかどうかを確認するポイントをご紹介します。

一つ目は、「MDシステムが販促に活かされているか」です。

小売業が抱える大きな販促の課題として、セールスプロモーション、特に「店頭プロモーション」が挙げられます。
店頭プロモーションの具体的な課題の事例とMDシステムを活用しそれを解決した事例をご紹介しましょう。

既存店舗への集客が課題である

多くの小売店で店舗への集客は大きな課題となっているのではないでしょうか。
集客のために用いられる一般的な手法は折込チラシなどの広告です。チラシの特売を見て来店する顧客は多く、集客方法として効果的だといえます。

ただ、小売店の中には、広告と店頭プロモーションが連動していないケースも見られます。
広告を見て足を運んだ顧客が、売り場で目当ての商品を見つけられなければ大きなストレスを感じるでしょう。購入につながらないばかりか、顧客ロイヤリティも低下しかねません。

そこで、MDシステム上で広告を企画する本部と実販売を行う店頭で情報共有を行い、広告と店頭プロモーションをきちんと連動させることが重要になってきます。

また、後述するポイントカードから得られるデータをMDシステムに集約し、広告出稿の反響でどのエリアからどんな年齢層の顧客が来店したのか、どんな購買履歴を持つ顧客が該当の広告に反応したのかといった分析結果を、広告企画にフィードバックすることも大切です。

ポイントカードのコストが利益を圧迫している

もともと、航空業界のマイレージサービスから始まったといわれるポイントカード制度は、航空業界とは商品特性が異なる上に粗利の低い小売業には高コストな販促手段です。

ただ、会員化によるロイヤリティ向上を考えるとメリットが大きく、コストを理由にポイントカード制度を廃止するという選択は得策ではないでしょう。
ここは、ポイントカードから得られるさまざまなデータをMDシステムに集約し、分析することで新たな価値づくりのための投資だと考えるのが良さそうです。

ポイントカード制度はフリークエント・ショッパーズ・プログラム(FSP:Frequent Shoppers Program)とよばれるマーケティング手法の一つです。顧客属性と購買履歴がわかるFSPデータは、販促への活用に注目が集まっています。

たとえば、これまでは売上が増えた時に、それがどこからもたらされたのかを把握できていなかった小売店は少なくないでしょう。FSPデータがあれば、売上を押し上げた顧客層についても分析が可能です。ここでもMDシステムは活用できるでしょう。

特売を行うと、その後の売り上げが落ち込む

一般的に、特売の時に買いだめ・買い置きをした顧客は、その商品がなくなるまで次の購入を行わないため、特売の後は売り上げが落ち込むことになります。

これは、特売により一時的に購入サイクルが短くなったものの、消費サイクルはそれまでと変わらないためです。

特売後の消費サイクルを早める方法として、新たな消費シーンの提案が挙げられます。
とはいえ、既存商品の新たな消費シーンを発案することはMDシステムを活用しても難易度が高いものです。BIツールなどと連携し、SNSなどのデータの収集・分析が必要になるでしょう。

MDシステムによって適正在庫を保てているか

二つ目は、「MDシステムによって適正在庫を保てているか」です。
在庫の適正管理に関する具体的な課題事例とMDシステムを活用した課題解決例をご紹介いたします。

人手での棚卸しでミスが減らない

四半期ごと・毎月末など、店舗によって決まった頻度で定期的に行われる棚卸し。
棚卸しには、実地棚卸しと帳簿棚卸しがあり、双方の数値が合致している必要がありますが、実際には盗難・紛失・万引きや、入力ミス・計算ミスなどにより、合わないケースが多くなります。
特に、手作業で帳簿棚卸しを行っている場合は人為的なミスが起こりやすくなります。

棚卸しが正確に行われないことで起こる弊害は、適正な在庫が保てないために過不足が生じ、販売機会の損失や廃棄によるコストアップなどです。利益性を高めるためにも正確な棚卸しは重要です。

MDシステムなどを利用して棚卸しを行うことで、計算の自動化やデータ連携による入力機会の削減などが可能になり、人為的ミスの減少が期待できます。

多品種少量の商品を扱っており、過不足による機会損失・在庫過多がある

品揃えの豊富さは顧客にとって魅力なもの。ただし、店舗にとっては在庫管理の難易度が上がります。
その結果、在庫に過不足が生じがちになり、やはり販売機会の損失や廃棄によるコストアップなどにつながります。

MDシステムを活用して在庫管理を行うことで、過去の在庫データや入出荷データから将来の予測が立てやすくなり、過剰在庫や欠品の削減につなげることができます。

流通BMSに対応したいが、基幹システムなどの改修によるコスト増は避けたい

2007年に制定された「流通ビジネスメッセージ標準/Business Message Standards(流通BMS)」には、メーカー・卸・小売り間での発注データや出荷データ、請求データなどの送信速度の向上やコスト削減が期待されますが、中小企業を中心に未だ「JCA手順」などレガシー方式のままのところも多いのが現状です。

大きなネックとして導入コストが挙げられます。基幹システムなどのリプレースとタイミングが合えば導入しやすいですが、そうもいかない企業は多いでしょう。

そこで注目したいのが、流通BMSに対応したMDシステムの導入です。MDシステムで発注、出荷、受領、検品、請求などのデータを送受信することで、流通BMS対応で高速かつ低コストでデータを交換することが可能です。

まとめ

MDシステムの本来の役割とは、消費者の欲求・要求を満たす商品を、適切な価格・数量・タイミングで提供するための管理を効率化することで「チェーンストア理論」を具現化し、企業競争力を高めることです。

本コラムでは、小売業の2大テーマともいえる「販売促進」と「在庫の適正管理」にスポットを当て、MDシステムの導入意義について解説しました。
もしも、明確な導入目的を持たないままなんとなく運用をスタートしてしまったという企業様がいたら、上記の点を軸に運用を見直してみてはいかがでしょうか。

アイネスでは、仕入管理・販売管理・在庫管理といったMDコアソリューションに、財務会計・勤怠管理といった基幹システムソリューションと、自動発注・棚割管理などのMD支援ソリューションを組み合わせた小売業向け第三世代型基幹システム「REAL MD Series」を提供しております。

「REAL MD Series」には分析機能も搭載されており、リアルタイムな分析を実現いたします。

「REAL MD Series」について、詳しくは以下のページをご覧ください。
小売業向け第三世代型基幹システム REAL MD Series

流通業向けサービスの豊富な実績を持つアイネスに、ぜひお気軽にご相談ください。

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