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データ管理がDXの絶対条件!
~MDM(マスタデータ管理)とは~
「DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めたいが、データが散在していて分析ができない」
「新しいSaaSを導入したが、既存システムと顧客データが連携できず困っている」
昨今、多くの企業がこうした「データの悩み」を抱えています。AIやBIツールが進化しても、その元となるデータが整備されていなければ、正しい経営判断は下せません。
そこで今、改めて重要視されているのが「MDM(マスタデータ管理)」です。
本連載では、企業のシステム担当者や経営企画部門の方に向けて、DXの足元を支える「MDM」の基礎知識から、失敗しないシステム構築のポイントまでを全4回で解説します。
第1回となる今回は、基本となる「MDMの定義」と「なぜ今必要なのか」について解説します。
目次
5.まとめ
MDMとは、Master Data Management(マスタデータ・マネジメント)の略称であり、日本語では「マスタデータ管理」と呼ばれます。
IT業界で「MDM」と言うと、スマートフォンなどを管理する「Mobile Device Management(モバイルデバイス管理)」を指す場合もありますが、本記事で解説するのは「データの管理手法」のことです。
MDMを一言で定義すると、「企業内に散在する人・モノ・金などの『基本情報(マスタデータ)』を統合し、全社で一貫性のある状態に保つための仕組みやプロセス」を指します。
各部署やシステムごとにバラバラに管理されていたデータを一箇所(ハブ)に集約し、重複や誤りを正すことで、「企業として正しい唯一のデータ」を作成・維持することがMDMの目的です。
MDMを理解するためには、まず業務データの種類について整理する必要があります。企業のシステムで扱われるデータは、大きく以下の2つに分類されます。
業務を行う際の「基礎となる固定的な情報」です。頻繁には変更されず、あらゆる業務の「主語」となります。
例: 顧客マスタ、商品(品目)マスタ、取引先マスタ、社員マスタ、勘定科目マスタ、組織マスタ
日々の業務活動によって「発生し続ける履歴情報」です。マスタデータを参照して生成されます。
例: 受注伝票、売上明細、日報、アクセスログ、在庫移動履歴
| 項目 | マスタデータ | トランザクションデータ |
|---|---|---|
| 役割 | 業務の「主語」(誰が、何を) | 業務の「述語」(買った、送った) |
| 変化 | 静的(あまり変わらない) | 動的(日々増え続ける) |
| 重要性 | データの「質」を決める | データの「量」を構成する |
MDMが対象とするのは、前者の「マスタデータ」です。
もし「商品マスタ」に誤りがあれば、それを使って生成される何千件もの「受注データ」すべてが誤ったものになります。ビジネスの正確性を担保するには、大元であるマスタデータの品質維持が不可欠なのです。
かつては、ERP(統合基幹業務システム)などの大型システムを一つ導入すれば、その中でデータが管理できていました。しかし、近年のIT環境の変化により、MDMの重要性が急激に高まっています。
MDMツールを導入し、適切に運用することで、企業内には「ゴールデンレコード」と呼ばれる資産が生まれます。 これは、「企業内で最も信頼できる、唯一の正解データ」のことです。
例えば、ある取引先企業について、社内のシステムごとに以下のような表記ゆれがあったとします。
人間が見れば同じ会社だと分かりますが、コンピュータはこれらを「全く別の3社」として認識します。その結果、「この取引先の全社売上トータルを出して」と言われても、即座に計算することができません。
MDMを導入すると、これらのデータを名寄せ(統合)し、以下のように統一します。
・MDM(ゴールデンレコード): 株式会社アイネス (統一企業コード:10001)
これにより、どのシステムから見ても「コード:10001」を参照すれば正しい情報が得られるようになり、迅速な経営判断や、誤配送・二重請求といったミスの撲滅が可能になります。
今回は、連載第1回として「MDMの基本」を解説しました。
DX・AI活用の鍵を握るのはMDMであると言えます。
次回は、「データのサイロ化」の弊害と、ガバナンス強化による解決策を詳しく解説します。
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