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【自社導入事例(株式会社アイネス)】生産性の向上と働き方改革の推進を目指し、シンクライアントをリプレイス 使い勝手も向上し利用者の評判も上々!

【自社導入事例(株式会社アイネス)】生産性の向上と働き方改革の推進を目指し、シンクライアントをリプレイス 使い勝手も向上し利用者の評判も上々!

(左から)ITサービス部 主任 倉田 亨、部長 木下 力、課長 中島 浩之、辻 久美子、経営管理本部 副本部長 佐藤 宗一

株式会社アイネスでは、これまでもシンクライアントを導入・活用していましたが、事業継続や働き方改革による生産性向上を実践するため、利用対象者と範囲を拡大した全社展開を目指して、2018年度末に新たな「全社シンクライアント導入プロジェクト」を立ち上げ、より利便性の高いシンクライアントへとリプレイスを行いました。

今回は、同プロジェクトの責任者である経営管理本部 ITサービス部長 木下と、プロジェクトマネージャーのIT基盤企画課長 中島に選定の経緯や導入効果などについて話を聞きました。

【課題】セキュリティリスクを回避して、生産性の向上も目指した全社展開へレベルアップ

株式会社アイネスでは、かねてより社内システムへアクセスするためにシンクライアントを提供していましたが、今回のリプレイスを機に、これまでのクライアントPCが抱えてきた課題を解決し、働き方改革の推進も見据えたシンクライアント利用を目指して、同時接続台数の引き上げに取り組みました。

Q. シンクライアントのリプレイスを検討し始めたきっかけや、抱えていた課題を教えてください。

中島:既存のシンクライアントが利用開始から4年経ち、2014年度策定の中期経営計画においてリプレイス計画に言及したのが始まりでした。

その後、2017年度に策定したITロードマップにおいてクライアントPCに対する施策について言及しました。
具体的にはまず、セキュリティリスクを回避するため、社内で社員やパートナーが利用するクライアントPCにはデータを一切残さないこと。次に、大量のデータ通信による社内LANの遅延を防ぐこと。もう一つが、シンクライアント、スマートデバイスをITサービス部が主体となって提供し、一括管理することがあげられました。

木下:また、既存のシンクライアントは、Chrome OSでChromebookのキーボード配列だったので、Windows とは勝手が異なっていたことと、レスポンスも悪く、クリックしてから反応するまでにタイムラグが生じたりと、使い勝手が良いとはいえないものでした。

そもそも既存のシンクライアントは、お客様企業へ常駐している社員の利用を想定して、メールチェックや勤怠入力、イントラの閲覧などのために利用していました。約500台にサービス提供していたものの、常時接続台数の上限は100台程度となっていました。今回は、働き方改革推進のためにフリーアドレスやテレワークでの全社展開を考えると、7~8時間はつないだままという状態になるので、常時接続台数の上限をもっと上げる必要がありました。

ほかにも、セキュリティ保護の観点からFAT PCの持ち出しを最小限に減らすことや、運用管理の効率化のためにも、社内外のFAT PCを減らしたいという課題もありました。
なおかつ、社外からのリモートアクセス時の通信を安全に行う手段も準備する必要がありました。


【アイネスの抱えていた課題】
■社外
・社外常駐者向けの既存シンクライアントを使い勝手の良いものへリプレイスしたい
・セキュリティ保護の観点から、FAT PCの持ち出しを最小限に減らしたい

■社内
・各自のDesktop PCの設置場所に縛られ、フリーアドレスやテレワークが進まない

<クライアントPC施策>
・個人のクライアントPCにデータを残さないようにし、セキュリティを向上させる
・大量のデータ通信による社内LANの遅延を防ぐ
・PCとセキュリティ的に重要なシステム(開発用サーバー、ファイルサーバーなど)は、同じレベルでアクセスできないようにする

■共通(社内外)
・シンクライアント・スマートデバイスをITサービス部が主体となって提供する
・社外からのリモートアクセス時に安全な通信が可能な手段を準備する
・セキュリティ保護や運用管理の効率化ためにも、FAT PCを減らしたい

【選定】要望は細かく、実現性の高さで解決策を検討

課題解決のためにあげられた選択肢の中には、会社が用意するシンクライアント端末での対応のほかに、社員の私物PCをシンクライアント化する方法も候補にあがりました。

Q. 課題解決のために候補に挙がった方法は、どのようなものでしたか?

中島:一つ目が、Windows系OSの軽量シンクライアントを採用すること。
二つ目が、シンクライアントの対象ユーザーを社外勤務者中心から社内勤務者も含めた全社員とすること。
三つ目が、働き方改革の一環として既に配付していたiPhoneで、テザリングして通信すること。
四つ目が、FAT PC上の作業環境・開発環境をサーバーへ集約すること。

これらを組み合わせることでの解決を検討しました。

Q. ほかの解決手段として検討された方法はありますか?

木下:社員やパートナーの自宅にある私物のPCをシンクライアント化して、iPhoneでテザリングをするという方法も検討しました。
この方法だと費用的には安く上がるのですが、当社の方針として、昔から「私物PCを業務に使用することは禁止」としているため、その方針を曲げてまでBYODするべきではないと考えました。また、それぞれに機種もバラバラなPCを現実的にはサポートしきれないだろうと考えたため、BYODは候補から外しました。

また、導入したシンクライアントのほかにも提案をもらいましたが、当社からの要望を細かく伝え、実現性の高さで選定を行いました。

【導入効果】操作性が向上し、利用者の評判も良好 配布希望の声も続々

シンクライアントのリプレイス後、1,000台配布予定のうち半分の500台の配布を終え、操作性も向上し評判は上々だといいます。

また、生産部門にとってだけでなく、管理部門にとってもセキュリティの向上や管理業務負荷の軽減という導入効果を実感しているそう。

Q. 導入に向けて実際に動き始めたのは、いつ頃からですか?

中島:2018年末頃に着手し、導入して実際にサービス利用を開始したのが2019年9月頃です。

Q. 実際にサービス利用を開始してから、抱えていた課題は解決されましたか?

木下:はい。まず、既存シンクライアントと比較して操作性が向上しました。キー配列もWindows OSの配列になりましたし、反応のタイムラグも解消し、通常のPCの操作性と遜色ありません。

フリーアドレスやテレワークにも活用されつつあります。2019年10月に本社を移転し、新オフィスを開設したのを機に、本社に勤務する社員に優先的にシンクライアントを500台ほど配布しました。本社では、営業部門の自席はなく、約100名の営業担当者は全員フリーアドレスで業務を行っています。
最近では、新型コロナウイルス対策としてのテレワークも進んでいます。

中島:社外活動での機動力が目に見えて向上したと感じます。
また、利用者からの反応もおおむね好評で、リプレイス前のシンクライアントは、用意した500台を配布しきるまでに何年もかかったのですが、今回は、優先的に配布されて使用しているメンバーを見て「自分も欲しい。いつ配られるのか?」という問い合わせが続々と届いています。

また、管理する側としても、シンクライアント化に伴い、管理部門のFAT PCが減少したことで、業務の負荷が減りました。
セキュリティ面でも、これまでとさほど変わらない運用を行いながら、シンクライアント化により個人使用の端末からデータがなくなった分、セキュリティリスクは低減しましたし、サーバーを集中管理できるようになりました。

【展望】2,000台規模を目指して導入計画を推進 クラウドVDIサービスでBCP対策も

シンクライアントのリプレイスが成功し、導入効果を得られましたが、リプレイス後に生まれた新しい課題もあるといいます。今後の展望について伺いました。

Q. 導入されたシンクライアントを活用した今後の展望をお聞かせください。

中島:先ほど、500台分を配布し終えているといいましたが、残り500台を配布してもまだ全社展開には足りません。全社員とパートナーを合わせると2,000台規模になるため、近々2,000台へと増強を予定しています。

ただ、同時利用ユーザー数が増大すると大規模システムのため、調達・導入は容易でなく、時間もかかります。そこで、利用予測を行って導入計画を立て、クラウドVDIサービスを活用することを検討しています。

現状では、ハードウェアとソフトウェアの両方を自社のデータセンター内で管理していますが、拡大時はともかくとして縮小時の対応が困難です。クラウド化することで、急な拡大・縮小にも対応できるようになることを期待しています。

Q. 最後に、現在シンクライアントを検討中の企業へ向けて、一言お願いします。

木下:シンクライアントの事例は星の数ほどもあり、各社の状況によって変わってきます。

まずは、自社が利用するアプリケーションをリストアップすることから始めるのが良いと思います。
共通アプリケーションが多ければ、シンクライアントによるメリットは必ず出ると思います。
逆に、個別アプリケーションが多い場合は結局、個別管理となり、管理コストはあまり変わらないでしょう。自社の環境を見極めた方式を選定すると良いのではないでしょうか。


アイネスでは、これまでに蓄積してきたノウハウを活かして、お客様の働き方改革推進をお手伝いいたします。ご相談やより詳しい内容につきましては、お問い合わせください。

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