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【株式会社オオゼキ様】紙の伝票を電子化して2,000万円のコストを削減

【株式会社オオゼキ様】紙の伝票を電子化して2,000万円のコストを削減

【株式会社オオゼキプロフィール(2021年5月10日現在)】

【株式会社オオゼキプロフィール(2021年5月10日現在)】

本社:東京都世田谷区
創業:昭和32年2月
資本金:1億円
主な事業:スーパーマーケットの運営(生鮮食料品・一般食料品・酒類・日用雑貨などの販売)

株式会社オオゼキ様は、1957年に個人商店として創業。現在は、東京・千葉・神奈川に合計41店舗を展開しています。創業時から「喜客」を、店舗を重視。“本部が店舗を支える”という方針で経営されています。

お話をうかがったお客様

お話をうかがったお客様

(左から)
システム技術統括本部 部長 鈴木 弘様、第二商品本部 デイリー部門 課長代理 宍戸 悠帆様、同グロッサリー部門 チーフ 寺西 亮太様


このスタイルを同社では「個店主義」と呼び、各店舗の売り場担当者が仕入れに関して品目や数だけでなく、仕入れ値・売値にまで裁量を持っているという徹底ぶり。本部が決めた棚割も自由に変更することが可能なのだそうです。
生鮮売り場や青果売り場では、その日に売りたい物を仕入れて販売することが多く、これが今回の課題につながる、膨大な紙伝票の処理業務を生んでいました。

【課題】
紙の伝票による業務の手間とコストが膨大 年間コストは2,079万円

オオゼキ様で扱うは伝票は紙が中心で、店舗側では日々の納品確認業務に1日当たり各売り場で100枚前後の伝票を処理していました。1人当たりの作業時間は30~40分にも及んでいたといいます。また、チェック業務が終わった伝票は、店舗控え用と本部への送付用に分けて保管する必要があり、それぞれの保管スペースを確保しなければなりませんでした。店舗では3ヵ月ごとの棚卸まで、本部では法人税法で定められた7年間、保管する必要がありました。本部では、保管のために倉庫会社を契約し、毎月段ボール箱で35個もの伝票を送っていました。これに付随して、本部へ伝票を送付する定期便、到着した伝票の開封・仕訳作業などの人件費などを合計すると、紙伝票のために年間で2,079万円ものコストがかかっていたといいます。

正しく納品されているかをチェックする業務が発生していました

システム技術統括本部 部長 鈴木 弘様

Q. 伝票電子化システムの導入以前は、伝票の管理・保存をどのように行っていたのですか?

鈴木様:商品を売ると必ず伝票が発生するわけですが、卸から発行される昔ながらの複写式の手書き伝票や、物流センターから送られてくるチェーンストア統一伝票など、伝票はすべて紙のものでした。

このため、毎朝、発注した品物が入荷すると、各売り場の担当者が伝票と品物を突き合わせて、正しく納品されているかをチェックする業務が発生していました。これに1日30~40分の時間がかかっていました。

寺西様:未登録の商品の値段を調べたい時や、売価を変更したい時などに、伝票を探すのも大変な作業でした。時には、何時間探しても見つからないことさえあり、ストレスになっていました。

宍戸様:紙の伝票だとデジタルのように検索することができないため、後から特定の日に特定の卸から納入された伝票を確認したい時など、1枚ずつ伝票をめくらなければならなかったのです。伝票は売り場ごとに日々100枚前後も発生するものですが、保管のためのファイリング作業は主業務ではないため、どうしてもおざなりになってしまいます。

鈴木様:入荷時のチェックが済んだ伝票は、店舗保管用と本部送付用に分割し、店舗保管用は各店舗の事務所で3ヵ月ごとの棚卸で使用するために保管します。一方、本部送付用は段ボール箱へ詰めて、社内便で本部へ送られます。本部では、経理部門がこれを毎日開封した上で、仕入れ部門ごとなどに仕訳作業を行い、法人税法で定められた7年間、保管していました。ただ、本部には41店舗の7年分の伝票を保管するスペースはとてもありません。そこで、貸倉庫に預けていました。これが毎月、毎月段ボール箱で35個もになりました。

貸倉庫代を始め、本部へ伝票を送付する定期便や、到着した伝票の開封・仕訳作業といった人件費を合わせて算出したところ、年間で実に2,079万円ものコストがかかっていることがわかったのです。これを0にすることは難しくても、せめて半分まで減らしたいと考えました。金銭的な意味合いだけでなく、本部・店舗それぞれの人員の作業負担を減らしたいという思いが強かったですね。

折しもコロナ禍の巣ごもり需要で一時的に売り上げが急増した後、徐々に元に戻りつつある頃。ネットスーパーや新業態での出店など、少しずつ新たな取り組みをスタートしているタイミングでした。

そこで、紙の伝票についてもタブレット端末を使った伝票チェックのシステムを実現できないかと考え、導入を検討し始めたのです。

Q.タブレット端末での伝票管理・運用を希望された理由を教えてください。

鈴木様:各店舗の事務所にも4~5台のPCは設置してありますが、スタッフ1人に1台、行き渡っているわけではありません。すると、使いたくても、スタッフの誰かがすでに使っていると作業ができないことがあります。また、店舗スタッフにはなるべく売り場に出る時間を作って、実際のお客様の反応を見て欲しいので、できるだけ事務所での作業は減らしたいのです。タブレット端末なら売り場で手軽に作業ができ、スタッフにとっても作業しやすいと考えました。

持ち歩きができる端末というとPDAやハンディターミナルなどもありますが、あまり小さな端末だと、画面上の制約があって使いにくい。持ち運びができる点と最低限の利便性を考慮した結果、タブレット端末という結論に達しました。

【提案・選定】
データセンター利用での信頼感や企業としての安定性などからアイネスを選定

タブレット端末での伝票処理やデータでの伝票保管を決断されたオオゼキ様は、当初、パッケージソフトの導入も視野に入れていたものの、機能が十分ではないことから、スクラッチ開発を検討されたそうです。しかし、アイネスの提案により、EDIプラットフォームでの構築を選択。さらに、競合他社のタブレット端末導入事例などを参考に、自社が求めるシステムの具体的なイメージや条件を絞っていきました。

Q. タブレット端末の導入を決めてから、具体的にどのように検討を進められましたか?

鈴木様:まずは、当社が希望するシステムを実現できる方法を調べました。パッケージソフトもいくつか見ましたが、求める機能としては不足するものが多く、かといってカスタマイズしようとすれば、費用が一気に高額になってしまって、パッケージの利点が消えてしまいます。これは、スクラッチ開発で実現するしかないだろうなと予測していました。

Q. アイネスをお選びいただいた理由について教えてください。

鈴木様:以前からお付き合いのあるシステム会社さんへ相談した際に、アイネスさんを推薦されたことがきっかけです。実は、アイネスさんには給与・勤怠管理システムのデータセンターでお世話になっていて、信頼感がありました。財務的にも安定していることがわかっていたので、有力な選択肢の一つでしたが、最終的に決め手となったのは、開発基盤を利用した提案です。

Q. システムに対しては、どのような希望を出されましたか?

鈴木様:まず、前述のような理由からタブレット端末を使用したいということは大前提で、チェーン展開するほかのスーパーマーケットで、すでにタブレット端末を導入しているところに話を聞きに行きました。そこで率直に感じた不便さ、便利さを精査して、オオゼキのシステムに盛り込む具体的な要件を検討しました。

Q. オオゼキ様の希望をお伝えいただいてから、実際にアイネスが提案した内容はどのようなものでしたか?

鈴木様:スクラッチ開発でしか実現し得ないと考えていたのですが、当然ながら費用は高額になります。一方、アイネスさんからは、伝票に記載されている項目がEDIでも取り扱っているデータであることと、画面の開発の必要があったことから、株式会社データ・アプリケーションのEDI開発基盤である「ACMS WebFramer|Web-EDI」を活用するという提案を受けました。 基盤を採用して、開発期間とコストを圧縮しながら構築するというわけです。

内容を聞いて、これなら当社の希望を実現できそうだと思いました。しかも、開発費用も抑えられる。提案いただいたプラットフォーム自体の印象が良く、優れた基盤を提案してくれたことも選定の理由の一つでした。
経営陣には「3年でコストを回収できる」と説明して、すんなり許可を得られました。

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【導入】
要件定義から現場スタッフに参画してもらい、実務に即した要望をシステムに反映

導入に当たり、あらかじめヒアリングしておいた競合他社の運用事例なども参考に、オオゼキ様のシステムとして求める機能や画面などの具体的なイメージを明確にした上で、現場スタッフの声を反映させるために、要件定義の段階からメンバーとして組み込んだといいます。プロトタイプへのフィードバックや、テストへも現場スタッフが参画した甲斐あって、実際の運用では大きなトラブルもなく、現場にスムーズに受け入れられたそうです。

Q.要件定義の段階で、具体的に出された希望はどのようなものでしたか?

鈴木様:ヒアリングしていた他社の例では、伝票の1品目ごとにサイン代わりの「確定」を押さないといけないなど作業効率の良くないケースもあったので、オオゼキでは全ての伝票を確認して問題がなければサインは1回で済むようにしたいと要望しました。

また、タブレット端末の横画面に、できるだけ表示項目や桁数を多く収められるよう要望しました。横スクロールの手間を省き、一画面で得られる情報を多くしたかったためです。

Q.導入にかかった期間はどのぐらいでしたか?

鈴木様:約半年で本番運用を迎えました。契約から約2ヵ月でプロトタイプが完成し、そこで、項目の表示などについて要望を伝えて改善してもらいました。たとえば、本来は商品コードが6桁なので、検索の際に入力の必要があるのですが、それでは手間なので「000066」なら「66」と入力すれば済むようにしてもらうなどです。とにかく、現場の負担軽減には徹底的にこだわりました。このように細かく調整していただいたおかげで、テスト導入時には現場に受け入れられるものが出来上がっていました。

とてもしっくりくるシステムでした

第二商品本部 デイリー部門 課長代理 宍戸 悠帆様

宍戸様:テスト運用の開始当初から「こりゃいいや」という感じで、とてもしっくりくるシステムでした。ただ、テスト時は起動から立ちあがりまでに5分近くかかっていたため、表示スピードを改善してもらい、最終的に30秒程度で表示されるようにしてもらいました。

【運用】
納品予定日前日には、多くの伝票が閲覧可能に。あらかじめ把握できることで余裕が生まれた。

導入前は、納品される品物の品目名や数量を把握するために、物流センターから各店舗へFAXを送ってもらっていたそう。これが伝票電子化システムへ直接データが送られるように変わったことで、タブレット端末から確認できるようになりました。この変化は、オオゼキ様だけでなく、物流センターの業務効率化にも寄与しているようです。

Q.導入後の実運用は、どのように行われていますか?

鈴木様:物流センターや個々の問屋など、卸によっても異なるのですが、デイリー部門(冷凍食品や牛乳、菓子、パンなど)の伝票は納品予定日の前日17時頃から、グロッサリー部門(食品や酒、雑貨など)の伝票は当日8時から閲覧できるようになります。導入前は、納品される品物の品目名や数量といった明細を物流センターから各店舗へFAXで送ってもらっていたので、今回のシステム導入で、物流センターの方でも作業が減ったと喜んでいますよ。

寺西様:自分で発注した品物ではあるものの、数が多いのですべてを覚えていられるわけではありません。前日に「明日、これが届くな」と分かれば、あらかじめメインに据える品物を決めたり、頭の中で棚や売り場のイメージを作っておくことができます。これで、当日の品出し作業がスムーズになるんです。

店舗では、タブレット端末1台を数人で共用しています。たとえば、私の所属する下北沢店では2台を8人で使用しています。タブレット端末からだけではなく、インターネット接続のあるPCからも使用可能です。

鈴木様:店舗のPCは、情報セキュリティ上、すべてのPCをインターネット接続していないため、一部のPCからのみ伝票電子化システムを利用できる状況になっています。

宍戸様:キーボードがあった方が操作しやすい場面もあるので、そいういう時はPCからアクセスしています。また、タブレット端末でWeb会議を行っていると、その間は伝票電子化システムにアクセスしづらいので、同時にPCから利用できて便利ですね。

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【導入効果】
2,000万円のコストを削減!倉庫サービスへ預ける段ボール箱の数も1/3近くへ

導入から約半年が経ち、すでにレンタル倉庫へ預ける伝票入りの段ボール箱の数は35箱/月から10箱/月までの削減を達成。年間コストについても、2,000万円まで削減できる見込みとの試算結果が出ています。何よりも、現場の業務負担が減り、特に“伝票を探す”ストレスから解放されたそう。

店舗では伝票チェックの時間を削減することができました

第二商品本部 グロッサリー部門 チーフ 寺西 亮太様

Q. 伝票電子化システムを導入後、具体的にどのような成果がありましたか?

寺西様:まず、店舗では伝票チェックの時間を削減することができました。導入前は、前述の通り1日30~40分程度を費やしていたのですが、導入後は、システムを立ち上げると5分程度でその日の入荷情報が一覧表示され、これをチェックするのに1分程度しかかかりません。

最大でも10分未満で済むため、20~30分の時短になりました。
その分、売り場に出て、商品チェックや品出しなどに当てられるようになりました。お客様との会話が増え、お客様に求められていることを提供できています。やはり、事務所にいる時間はできるだけ減らしたいので。

宍戸様:検索性が向上した点も大きいですね。導入前は、特定の商品を伝票から探すのに数時間かかることもあり、最終的に見つからなかったというケースもありました。これがストレスになっていました。伝票電子化システムでは伝票を検索できるので、未登録の商品の仕入値を探したり、納品数の確認したりといったことをスピーディに行えるようになりました。

鈴木様:伝票が発行された末日から翌月10日までの40日間はデータを保存しておきます。この間は、データの編集が可能です。その後は、自動的に「過去の参照」の検索データへと移り、この状態で7年間、保管されます。紙ではなく、データで保存できるようになった点も大きな成果ですね。また、副次的な効果として、改正電子帳簿保存法に対応可能な体制も実現できました。

【展望】
EDI未対応の伝票を含め、社内の帳票類のペーパーレス化を推進したい

Q. 伝票電子化システムを活用した、今後の展望をお聞かせください。

鈴木様:まずは、紙の伝票をもっと減らして、真のペーパーレス化を進めていかなければと考えています。今回の伝票電子化システムで、手書きのサインをしなくて済むようになるなど、伝票にまつわる業務負担はかなり軽くなりました。ただ、店舗控え用の伝票など、保管しておかなくてはならない紙がまだ残っています。また、伝票以外にも納品書や請求書といった経費精算系の帳票は、システムを導入しながらも、まだ紙で発行されるケースも多いです。これには取引先との調整も必要ですが、少しずつ推進していきたいですね。

【お話をお伺いしたお客様より】

【お話をお伺いしたお客様より】

システム技術統括本部 部長 鈴木 弘 様

「アイネスの提案を受けて、第一印象から『これなら、当社のやりたいとこが実現できそうだ』と感じました。実際に導入してみて、月に35箱にもなっていた伝票の段ボール箱を10箱まで減らすことができました。これからも、現場の負担を減らすことが最重要なので、現場の声を聞きながらペーパーレス化や業務効率化を推進していきたいですね」

導入パートナー 株式会社データ・アプリケーション

当社は、FTC(Fault Tolerant Computer)用ネットワークソフトウェアの開発・販売などを通して成長してまいりました。現在は、EDIの分野におけるマーケットリーダーの地位を確立しております。

今回、オオゼキ様には、アイネス様の伝票電子化システムの基盤としてACMS WebFramerの「Web-EDI」を採用いただきました。

これからも、私たちの製品・サービスが、企業間での電子商取引の迅速化、効率化に寄与していけるよう、努力してまいります。

【お問い合せ先】
今回、ご紹介しましたアイネスの「 伝票電子化システム」についての紹介は、以下のURL(アイネスコーポレートサイト)よりご覧いただけます。

より詳しい内容をお知りになりたい方は、以下よりお問い合わせください。

※ 本文に掲載されている会社名・団体名および製品名は各社または団体等の商標または登録商標です。
 

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