公開日
更新日
デジタルテクノロジーの進歩は目覚ましく、私たちの暮らしもビジネスも、非常に速いスピードで変化しています。この流れはますます加速していくでしょう。
日本の小売業においては、経済産業省のDX推進に加え、2020年初頭からの新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、接客面では「非接触」をキーワードにEC化やキャッシュレス決済が浸透し、バックヤードでは在庫管理や人事管理など、さまざま管理業務のオンライン化が進みました。
こうした変化は数年前、数十年前には、なかなか想像できなかったことです。
では、未来の小売業は、これからどのように変化していくのでしょうか?そして、その変化にキャッチアップするために、今から備えられることは何でしょうか?
本コラムでは、2030年の未来における日本、特に小売業における変化を予測した上で、今からでも取り組める準備について解説いたします。
【関連サービス】
【2023年小売業界トレンド】変化する情報をリアルタイムに把握して
今から約10年後の近い将来、デジタルテクノロジーの進歩によって、日本はどのように変化しているのでしょうか?
社会全体での変化と、小売業における変化に分けて、予測してみましょう。
社会全体を見渡してみると、政府が打ち出した「Society 5.0(ソサエティ5.0)」や、東洋大学教授で慶應義塾大学名誉教授※の竹中 平蔵氏が提唱したスーパーシティが実現されることが予測されます。
※スーパーシティ提唱当時から2023年5月現在の肩書。
具体的には、たとえば総務省の資料「2030年代に実現したい未来の姿と実現に向けた工程イメージ」にあるように、個人の働き方としては、複数の仕事を持つことが主流となり、バーチャル個室などで異なる職場へ自宅などから瞬時にアクセスできるようになるでしょう。
教育現場においては壁や天井、机といった教室の設備がディスプレイ化して、作成したアプリケーションを投影できたり、VRを活用することで、教室にいながらにして宇宙や深海などの体験学習が可能になったりしそうです。
自治体では、いつでもどこにいてもバーチャル執事を通してあらゆる手続きができるようになり、災害が起きても宇宙から給電できるシステムの実現で電力が確保できるようになる可能性があります。
また、医療分野では、AIが初期の簡単な診察を行った後で、専門医が小さなカプセル型のインプラント端末を活用して低侵襲な治療を行うようになることが予測されます。
一方、小売業界においては、実店舗でもオンライン店舗でも、デジタルテクノロジーの進歩が顧客体験の向上を中心に新たな価値を創出することが予想され、これを支えるデータの存在がますます重視されるようになりそうです。
実店舗では、コンピューターが画像や動画を認識して人間の視覚のような動作をするというAI分野の仕組みである「CV(コンピュータビジョン)」を活用することで、顧客が欲しい商品を探し回る必要がなくなります。顧客に尋ねられた店舗スタッフが時間を割いて売り場を案内する時間を削減できるため、少子高齢化で従業員が少なくなっても接客が可能です。
CVの活用により、人件費を削減しながら、顧客満足度の向上も実現できるでしょう。
販促・プロモーションでも、AIやCVの活用が進むと見られます。
たとえば、実店舗ではディスプレイの前を通る顧客に応じて、オンライン店舗では商品を検索する人に合わせて表示を変化させ、パーソナライズされたプロモーションが可能になるでしょう。
また、顧客からの問い合わせを受けるコールセンターでAIを導入することで、自動応答から分析によるマーケティング、商品企画への活用までが活用可能になります。
このようなAI技術は今後、低価格化により普及が進むと予想されています。
実店舗でもオンライン店舗でも、有形商材を扱う上で在庫管理は避けて通れません。
現在でも、過去に蓄積してきた販売データを活用した来店予測や需要予測などによって可能ですが、未来での在庫最適化はさらに精度が高まるでしょう。これによって、廃棄ロスを減らせ、SDGsの実現にもつながります。
さらには、再生可能エネルギーの活用など、未来の小売業には、より脱炭酸社会への貢献が求められるようになるでしょう。
パーソナライズ化については「プロモーションなどへのAI活用」でも触れましたが、顧客の買い物体験もパーソナライズ化によって進化しそうです。 たとえば、顧客への商品の提案や、採寸、商品を選ぶ時間の短縮などが考えられます。従来は実店舗でしか実現できなかった、こうしたパーソナライズされた買い物体験を、オンライン店舗でも実現できるようになるでしょう。
では、サイバーレジリエンスを取り入れるためには、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
「小売業界で予測される変化」でご紹介したような変化が、実際に起きてから対応しようとしても、先行企業に遅れを取ってしまいます。
では、未来の変化に向けて、小売業が今から準備しておけることは何でしょうか?
上記の変化をもたらすデジタルテクノロジーの中心となるのが「データ」です。
たとえば、CVのようなAIでは、機械学習モデルを作る際に教師データ(学習データ)が必要です。AIそのものの精度もありますが、データ量が豊富であるほど精度の向上が期待できるため、今からデータを蓄積しておくことが重要でしょう。
また、データの処理や分析に関するノウハウを貯めておくことも肝要です。
従来は、過去に蓄積してきた大量のデータをもとに、分析ツールで示唆を得ることが中心でしたが、徐々にリアルタイムデータに適用するようになってきています。
リアルタイムデータとは、生成された直後に収集され、利用可能な状態に処理されたデータのことです。タイムラグなしに利用できるリアルタイムデータは、すでにGPSや銀行取引など、私たちの身近なところで役立てられています。
「小売業界で予測される変化」でご紹介したようなデータ利活用のポイントには、リアルタイム処理することが挙げられます。なぜなら、処理が遅ければ、それだけデータが示す内容が現実とはかけ離れたものになってしまうからです。「分析精度が落ちる」と言い換えることもできます。
また、データ処理が遅いほど、これに基づく意思決定は遅れます。目まぐるしくビジネス環境が変化している中で、わずかな判断の遅れが明暗を分けることもあります。
データの処理ツールを整備する際は、バッチ処理のような旧来の方法ではなく、リアルタイム処理が可能なものを選定する必要があるでしょう。
具体的には、たとえば、小売業向け基幹MDシステム「REAL MD(リアルエムディー)」があります。REAL MDでは、オンメモリDBによる超高速処理を採用しているため、バッチ処理に比べてはるかにタイムラグの少ない処理が可能です。
オンメモリDBをコア技術に、「経営ダッシュボード機能」と「マトリクス分析」の2つの分析メニューを搭載しているため、小売業のさまざまなデータ分析が可能です。
2020年代の今のうちから、データのオンライン処理が可能な体制をつくり、オンラインデータの活用にまつわるナレッジを蓄積しておくことで、来たる2030年代でも競争力を維持・強化することができるでしょう。
2030年の日本では、ますます進化したデジタルテクノロジーが、社会課題の解決や利便性の向上など、全方位で活用されることになるでしょう。
小売業界においては、データを分析して来店予測や需要予測などの将来予測を行うことや、個々の消費者にカスタマイズされた購買体験の提供が浸透していると考えられます。
つまり、未来においてはますますデータが重要になるということがいえます。データが「21世紀の石油」と呼ばれるゆえんです。
このような未来予測のもと、今のうちから取り組める準備として、データの処理や分析が行える環境づくりやデータ活用のノウハウを貯めておくことが挙げられます。
その際、注意したいのが、未来においては現在よりもさらにデータのリアルタイム性が求められるという点です。データ処理にかかる時間を圧縮し、データ収集からのタイムラグが短くなるほど、迅速な意思決定に寄与するためです。
アイネスでは、小売業向け基幹MDシステム「REAL MD(リアルエムディー)」を提供しています。
「REAL MD」は、超高速検索アクセス性能とデータ更新&データ保護を同時に実現するMemory DBを採用することで、脱バッチ処理を実現しました。
小売業で日々刻々と発生するレシート明細などの膨大な生データを、「REAL MD」でリアルタイムに蓄積・評価することで、さまざまな施策につなげることができます。
たとえば、各店舗の発注情報はリアルタイムで本部スタッフが確認できるため、店舗の発注業務に活用できます。
さらに、これまでの運用・保守実績を活かし、システム構築・導入だけに留まらず、お客様のライフサイクルのすべてのステージにわたり、一貫したワンストップサービスを提供いたします。
「REAL MD」の詳細については、下記ページをご覧ください。
【関連サービス】
小売業向けDX時代の基幹MDシステム REAL MD Series
弊社は、情報サービスのプロフェッショナルとして、システムの企画・コンサルティングから開発、稼働後の運用・保守、評価までの一貫したサービスと公共、金融、産業分野などお客様のビジネスを支える専門性の高いソリューションをご提供しています。お気軽にご相談ください。