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スマートフォンやモバイル端末の普及に伴い、電子メールはより身近になり、私達の生活に欠かせないものとなりました。ビジネスにおいても便利なコミュニケーションツールとしてさまざまな場面で活用されていることは言うまでもありません。私達のシステム運用の現場においても、お客様からいただいた電子メールを業務の起点として活用しています。手軽さがウリのメールですが、対話によって双方向のやり取りができる電話と異なり、一方通行なうえ、内容を確認するためには「受信に気づき、開封して読む」といったステップが必要となります。このステップが落とし穴となり、電子メールにまつわる多くの失敗を経験し、試行錯誤を繰り返してきました。その結果、「品質を上げるために、オペレータは頑張らない」という結論に達しました。オペレーションの現場で品質を維持向上するために、オペレータではなく誰が“頑張る”のか、オペレータは何をするのか、私たちがたどり着いた解を、この場でご紹介いたします。
お客様からいただく電子メールは概ね「問合せ」「ヘルプ」「依頼」等に分類できますが、例えばトラブルに直面して急いでいるお客様にとって、その分類は意味を持ちません。特にマルチベンダーで複雑化されたシステム環境下でのトラブルは、当初、混沌としている場合が多く、明らかなことはお客様の目の前で起きている現象だけです。ハードの問題なのかソフトの問題なのか、それとも運用上の問題なのか、それらのどこがどう悪いのかなど、お客様自身にも分からないことが多々発生します。そのため、運用委託先に連絡すれば何とか切り分けてもらえるのではという期待を持たれて連絡されるケースも少なくありません。
私達はIT企業ということもあり、早くから1人1台のPCを与えられ、電子メールの利用環境が整っていました。誰もが電子メールを使える環境であったがために、最初は、「受信に気がつかない」「メーリングリストの中の誰かが見ているだろう」「個人管理だから、受付管理簿に記載し忘れた」などといった、お客様にご迷惑をおかけする問題や、「関係者にccしているから情報共有できている」と思い込むなどの問題が湧きあがりました。
このような問題が発生すると関係者が集まり問題解決のための集中討議を行います。
トラブル時であれ平常時であれ、「対応は迅速・丁寧に!」と入社当時から叩き込まれているオペレータは、トラブル時にはいつも以上の頑張りでトラブルに立ち向かい、お客さまから「よく頑張ってくれたので助かりました」といったうれしいお言葉を頂戴することもしばしばです。
が、実はそこに大きな落とし穴が潜んでいました。
議論が白熱して来ると、持ち前の「頑張らなきゃ精神」が講じて、後から考えると笑えないような対策案がいくつも出てきました。
その中からボツとなった案2案をご紹介しましょう。
これからお取引が始まる新規のお客様との間で合意いただける対応案としては無くもないかもしれませんが、既存のお客様に対策を転嫁することは許されません。そもそも、電子メールで完結すべきことを電話で補足するのは本末転倒であり対策とは言えません。
この対策は一見良いように思えます。事実、「気がつかない」「誰かが見るだろう」は激減しました。しかしながら、この案では「迅速な対応」が果たせませんでした。電子メールの到着に早く気付くためには例えば10分間隔といった具合に確認頻度を上げる必要があります。
電話を含めても問合せがまばら、という状態では、電子メールの到着も離散的です。通常、オペレータは複数タスクを同時に見ることができるよう訓練されていますが、確認頻度が上がれば負荷がかかります。そもそも、目的は「迅速な対応」であって、確認はそのための手段です。必要だからといって、手段に力を注いで頑張ることは得策とは言えません。
また、変化が無い状態の確認が長く続くと、変化があっても、惰性で変化が無いように思い込んでしまうといった信じられないヒューマンエラーが起こりやすいことが、長年の運用監視業務を通して分かっています。
ここがポイントです。
頑張りを引き出すことは、ある局面では可能であっても、人間は長い時間軸の中でそれを持続させることができない生き物であるということです。ですから、人の資質に頼るような対策は、いつかまた別のかたちでトラブルを生むことになるのです。
私達は、迅速かつ確実に対応するためには、人の力に極力頼らず、自動化の仕組をできるだけ取り入れることが重要という考えに至りました。
最初に行ったのは、専用のメールアドレス宛のメールを受信すると広いオペレーション監視室のどこにいても聞こえるような大きなアラーム音が鳴り続けるという簡単な仕組の開発でした。これにより、メール確認作業から解放され、何よりも大きなアラーム音を聞き逃すことがないので、メール受信に気づかないということがなくなりました。
次に行ったことは、電話応対と電子メール応対を同列に捉え一元的に管理できる仕組をBPMツールやCRMツールを用いて開発したことです。これにより受付からお客様が希望される回答期限まで、全ての対応状況や進捗状況が見える化され、対応品質がさらに上がりました。
今後はお客様からいただくメール文中でよく使用される語句やエラーメッセージ等のキーワードを自動解析し、関係各部署への迅速な振り分けや問題解析のプレ作業などができないか皆で考えはじめています。
上記でご説明のベースに用いております「BPMツール」や「CRMシステム」「クラウドサービス」「マネージドサービス」などの詳細については下記からお問合せください。
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