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SAP 2025年問題をチャンスに変えよう!

SAP 2025年問題をチャンスに変えよう!

企業などのシステム担当者、なかでもSAPユーザーの企業のご担当者は、「2025年問題」という言葉に敏感になられているのではないでしょうか。

 

2018年もすでに半分近く過ぎ、2025年までもう7年を切りました。SAPユーザーの企業は、そろそろ具体的に対応策を計画しなければ間に合わない時期です。

 

ここでは、SAPの2025年問題の概要と、検討を行う上でのポイントについてご紹介します。

 

 

SAPの2025年問題とは?

SAPの2025年問題とは、ERPパッケージベンダーの最大手SAP社が提供しているERP製品「SAP ERP」や、SAP ERPにSCM(サプライチェーン管理)やCRM(顧客関係管理)機能を追加した「SAP Business Suite」の保守期限が2025年で終了してしまうことを指します。

 

SAP社は、保守期限を2014年から2020年、さらに2025年へと既に2回の延期を行っており、さらなる延期は考えづらく、日本国内では2,000社といわれるSAPユーザーが対応策を迫られることになります。

 

2025年に保守期限を迎えるサービスは以下の通りです。

  • SAP Business Suite 7 コアアプリケーションリリース
  • SAP ERP 6.0
  • SAP Customer Relationship Management 7.0
  • SAP Supply Chain Management 7.0
  • SAP Supplier Relationship Management 7.0
  • SAP Business Suite powered by SAP HANA 2013

 

ERPという企業にとって事業の根幹を支えるインフラに影響する問題であるだけに、業務に支障が出ないよう十分な対策が求められます。

 

 

SAPの2025年問題が起こる背景とは?

近年、SAPはクラウドやプラットフォームの提供にも力を入れていますが、ERPベンダーとしては老舗の企業です。そのSAPが、従来製品である「SAP R/3」や「SAP ERP」から新製品である「SAP S/4HANA」に提供サービスをシフトしていることが今回の問題の引き金となっています。

 

「SAP S/4HANA」は、従来製品のようにUNIX、Linux、WindowsといったさまざまなOS上で、さらに複数データベースで稼動させられるマルチプラットフォームとは異なり、「SAP HANA」というインメモリデータベースのみに対応のため、データベース環境の移行も含む大規模な対応が必要となります。

 

SAPがこれまでのERPサービスから「SAP S/4HANA」に切り替える理由は、ERPの機能充実によるシステムの肥大化によってリアルタイム性が失われてきたことが、よりリアルタイム性を求められる現代のビジネス環境にそぐわなくなってしまったためです。

さらに、今後はビッグデータ活用がますます普及することが予想され、システムには膨大なデータの迅速な処理が求められます。

 

こうした背景から、SAPは新たなアーキテクチャによるERP構築に踏み切りました。

 

 

SAPの2025年問題への対応策とは?

では、この2025年問題にはどのように対応すればいいのでしょうか?
いろいろなサイトにも掲載がありますが、対応案としては以下の選択肢が考えられます。

1. 2025年までにSAPの推奨する「SAP S/4HANA」に移行する
2. 2025年以降に「SAP S/4HANA」へ移行する
3. 2025年までにSAP以外のERPへ移行する

また、2025年以降も現状のシステムを使い続ける・・・というのも考えられます。
(余談ですが、弊社のSAP ERP用のマスタ管理ツール(Aerps MASTER Ace)はS/4HANA対応を行いました!)

上記案のいずれにしても、この2025年問題の対応策を考える上での問題は、各社の状況によってさまざまだと思います。しかし、一番大きな問題は、そのきっかけがベンダー都合であり、ユーザー企業にとっては半ば強制的に「仕方なく」関わらざるを得ないことで、どうしてもネガティブな思考になってしまいがちになることだと、私たちは考えています。そのような後ろ向きな姿勢で検討した対応策が良い結果を生むことはほとんどない、ということはご理解いただけると思います。

 

 

2025年問題を “絶好の機会” ととらえよう!

そこで、発想を逆転させて「これまで悩んでいたことを解決したり、新しいことにチャレンジしたりする絶好の機会」と捉えてみて、前向きにいろいろな方策を検討してみてはいかがでしょうか?現在日々運用している基幹システムを抜本的に見直しできる機会なんて、そうそう持てるものではない、というのはあえて言うまでもないことでしょう。

今後もSAP社のERP製品を継続して利用する場合、一番に考えられるのは、今のバージョンをS/4HANAに移行することだと思います。ただし、その前に今一度システムだけではなく業務の棚卸し、見直しを実施することを強くお薦めします。最初に導入した時から大きく変わった業務はありませんか?効率の悪い業務はありませんか?

システム担当者はもちろんのこと、エンドユーザーも導入当時と比べて、ERPの知識が格段に増していることと思います。また、日常業務で利用していて、いろいろな気づきも貯まってきていると思います。今なら、そうした知識や経験を活かした改善を検討することが可能ではないでしょうか。S/4HANAの新しい機能も、より容易に理解できるようになっていることと思います。ここはベンダーやコンサルタントに任せっきりにするのではなく、新システムのあるべき姿を積極的に模索してください。 

 

より良いものを導入するチャンス!

さらに一歩進めて、AIやRPA、IOTといった新しいデジタル技術を組み込むことも考えてみてはいかがでしょうか。それらの仕組みを単独で導入するよりも、より効果的なシステムを構築できる可能性が高くなるかと思います。

ここまで来たら、いっそのことバージョンアップ的なアプローチではなく、新規にERPを導入するというアプローチも検討価値があるかと思います。言わば、導入をやり直すのです。前回よりも確実に、より良いものをより効果的に、よりスマートに導入できるのではないでしょうか。アドオンも大幅に減らすことができると思います。そうすれば、日々のメンテナンスコストを下げることができますし、次のバージョンアップ作業をより容易にすることにもつながります。 

もちろん、SAP以外のERPパッケージに切り替えることも検討する必要があるかと思います。なぜなら必ず上層部から「他と比較はしたのか?」と言われるから。ただし、これも「仕方なく」や「形式的に」ではなく、より積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか?新しい技術や機能、トレンドを知る機会にもなります。これまで付き合いのなかったシステム会社と会うことで、新しい発見があるかもしれません。もちろん、他社のパッケージを比較検討する場合においても、これまでのSAP運用で得た知識や経験が活きてきます。もう素人ではないのです。自信を持って対応してみてください。比較検討した結果、やはりSAPを継続利用することになったとしても、必ずその後に役立つ知識や経験が得られるはずです。


まとめ

SAPユーザーにとって、2025年問題は避けることのできない課題であり、何らかの対策・決断が必要になります。一方で、基幹システムを抜本的に見直しする機会はそうそうないことも事実です。この機会を最大限に活かして、ぜひシステム担当者もエンドユーザーも、ひいては会社にとっても有意義な結果を得られるよう、前向きにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。



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