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AIによるDXを実現させるための社内研修とは?

AIによるDXを実現させるための社内研修とは?

左から、金融ソリューション本部 金融ビジネス推進部 課長 高橋 清香、野沢 泰雅、主任 府川鉄平

最新テクノロジーの一つとして注目を浴びているAI。現在は人間が行っている業務が将来的にはAIに取って代わられるといった予測も出されるなか、AIさえあればDXが推進され、どんな課題も解決可能であるかのような錯覚にも襲われます。

「AI」でネット検索すれば、国内外のニュースや事例、専門家のコラムなどが膨大にヒットし、関連書籍も近年、続々と出版されています。一見するとAIに関する情報があふれているかのような状況ですが、いざ「AIとは何か?AIの特性は?」といった本質的な質問をぶつけられたときに、正しく答えられる人はそう多くはないでしょう。

アイネスでは、お客様へAIを含むさまざまなITソリューション提供を行ってきました。今後、さらに的確で高品質なサービス提供を行うため、2019年4月に新設した金融ソリューション本部 金融ビジネス推進部を中心に、AIに精通した人材の育成強化に力を入れています。

今回は、株式会社STANDARDの提供しているAI研修「AI_STANDARD」を受講した3名のインタビューを紹介します。

プロフィールと仕事内容

Q. プロフィールと仕事内容を教えてください。

野沢

私は入社して2年目で、金融ビジネス推進部へ異動となりました。1年目は、お客様のパソコンをお預かりしてWindows10への移行を行うプロジェクトや、社内向けのAWS研修カリキュラムを作成する業務などに携わっていました。

府川

入社して15年目になります。入社当初から長らく金融業界向けのシステム提供を行う部署で業務を行ってきましたが、その中で、3回の部署異動を経て、2019年4月から現在の金融ビジネス推進部に在籍しています。
過去の部署異動では、それぞれ、海外送金システムのローカライズやヒト型ロボットによるロボティクスソリューション提供といった、会社としても新規の取り組みとなるプロジェクトに携わってきました。

高橋

私は入社20年目になります。2019年度に新設された金融ビジネス推進部へ異動する以前は、金融業界向けのシステム開発・保守、プロジェクトのマネジメントに携わっていました。

 

研修受講前のAIに関する知識やイメージは?

研修受講前のAIに関する知識やイメージ

左から、金融ソリューション本部 金融ビジネス推進部 課長 高橋 清香、野沢 泰雅、主任 府川鉄平

Q. AI研修受講前のAIに関する知識やAIに対するイメージとして、どのようなものをお持ちでしたか?
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府川

私は、Googleが提供する翻訳サービスなどからAIに対して興味を持ち、「では、マイクロソフトではどのようなサービスを提供しているのか?」といった具合で横展開して自分なりに調べていたため、テキスト解析や音声認識などAIにもさまざまな分野があるという認識は持っていました。

そこで、「AI_STANDARD」では、AIに関する基礎知識が学べる「AIリテラシー習得講座」と、エンジニアと一緒にプロジェクトを進めていくリーダーや、お客様と一緒にAIの仕組みを作り上げていくような立場の人向けの「AIマネジメント講座」を受講しました。

野沢

お恥ずかしながら、AIに関する知識は、ほぼ0に近い状態でした。映画に出てくるような人工知能のロボットのイメージがあり、育てていけば何でもできるようになるものだと思っていました。

4月に金融ビジネス推進部へ異動してからすぐに、AIのコードなどを書くための言語「Python(パイソン)」の基礎は習得しましたが、得体の知れないAIを仕事にしていくにあたり、何から身につけていけば良いのかと悩みました。

「AI_STANDARD」を受講することが決まった際も、「難しそう・複雑そう」という先入観があり、自分にできるのだろうかという不安が大きかったです。
ただ、AI・業務自動化展に行って世の中の流行を知り、AIに関わってみたいと思っていたところでもありました。 そこで、上司の勧めもあり、「AIリテラシー習得講座」と「AIエンジニア育成講座」を受講しました。

高橋

特に仕事上でAIに関する知識を求められる状況にはなかったのですが、AIが話題になり周囲にも興味を持つ人が増えているなかで、AIとはどんなものなのかという一般的な知識はつけておこうと、ネット検索や書籍などでAIに関する情報を得ていました。

そのなかでAIの概要を知り、世間がAIに期待するものと実際にできることには乖離があるのだろうという印象を持ちました。
書籍によって、AIには実現できることとできないことがあると書かれているものと、ある程度なら何でもできるようなことが書かれているものとがあり、どちらなのかよくわからないままでした。

結果として「なんとなく理解できたような気がする」というレベルで、仕事に使えるほど体系立った知識は得られませんでしたが、何をどこから学べば良いのかもよくわからない状態でした。

Q. 高橋さんは、どのような経緯で研修を受講されたのですか?
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高橋

金融ビジネス推進部の課長に任命され、システムだけでなくサービスまでを含め、どう提供するかを考えることが求められるようになりました。
お客様の抱える課題を解決するための手段の一つとしてAIもご提案できるよう、知識を身につける必要性が出てきました。

そこで、研修の一環で「AI_STANDARD」を受講しました。AI_STANDARDには、AIに関する基礎知識が学べる「AIリテラシー習得講座」と、実際に「Python(パイソン)」などの言語を用いながらモデルを組む実習も含む「AIエンジニア育成講座」、エンジニアたちをどのようにAI業務に取り組ませていくのか、また、一般的なシステム開発とAI開発の違いなどについて学べる「AIマネジメント講座」の3コースがあり、私は「AIリテラシー習得講座」と「AIマネジメント講座」を受講しました。

実際にAI研修「AI_STANDARD」を受講してみて

研修受講前のAIに関する知識やイメージ

左から、金融ソリューション本部 金融ビジネス推進部 課長 高橋 清香、野沢 泰雅、主任 府川鉄平

Q. 実際にAI研修「AI_STANDARD」を受講されてみて、AIに対するイメージはどのように変化しましたか?
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野沢

「AIリテラシー習得講座」はだいたい1ヵ月間の受講期間が一般的で、AIの歴史を含めた概要が学べ、文系・理系に関わらず理解できる内容でした。

一方、「AIエンジニア育成講座」の方は数回の課題提出が求められ、数学の知識も必要となるので、理系の方が理解しやすいと思いました。プログラミングの課題は出されるものの、プログラミングの経験がない私でも受講・習得できました。一般的には3ヵ月間で受講するコースでしたが、私は集中的に受講して1ヵ月で終了しました。

受講前のイメージとは異なり、AIというのは複雑怪奇なものではなくプログラムの一つであり、データを集めて正しく前処理をし、アルゴリズムに適する形にする必要があるのだと知りました。また、作成後もパラメータの調整が必要など、意外と人手をかけなくてはならない部分も多く、パパッと作ってそのまま使えるといった類のものではないのだということも理解しました。

高橋

AIで何でもできるわけではないのだと知ったことが大きいです。世間が期待しているようなAIの働きも一定の条件が揃わないと機能しないこと、ある課題に対する解決手段として、AIを採用すべきか、それともほかの方法を採用すべきかは、業務課題をきちんと整理したうえで判断することが大事であるといった学びがありました。

トレンドになっていることもあり、お客様からも「AIを使って解決したい」とAIありきでご相談を受けるケースも多いですが、AIでしか解決しづらいような課題もあるものの、業務課題の本質を理解したうえで最適な手段を提案する必要があると改めて感じました。

府川

受講以前は、教科書のような体系だった教材からのAIの知識を習得したわけではなかったため、そこから得たAIの考え方が合っているのかどうか確信が持てなかったのですが、AI_STANDARD受講して、AIに対する自分の理解がある程度間違っていないことが確認できました。

また、AI_STANDARDの講義のターゲットは機械学習ですが、機械学習を絡めたシステム構築においては、最初のデータ集めの段階も重要で、スタートの段階のミスがプロジェクト全体の成否を左右するため、初期リスクも大きいという結論も得られました。だからこそ、いきなり本番導入を目指すのではなく、実証実験のフェーズを設けて、現状存在するデータを活用してどこまで出来るかを見極めるといった進め方になるのだということを理解しました。

Q. 受講したAI研修「AI_STANDARD」は、その後、実務で役立ちましたか?
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野沢

受講後すぐに、AIを使った商品のレコメンド機能の実証実験に参画することとなり、AI_STANDARDで得た知識を活用しました。これは、特に金融業界に限定したものではないのですが、チャットボット型のUIでニーズを聞き出し、商品のレコメンドを行うものです。

その際、お客様に会う機会がありましたが、お客様側はAIでできることを模索しており、アルゴリズムの細かい仕組みなどはご存じなかったので、研修で得た知識を噛み砕いて、説明しました。お客様には、AIのことをよくわかっている人として認識してもらえている実感も得ました。

府川

私も同じ実証実験に参加したのですが、お客様に対してAIを使った解決方法を提案する際に、知識としての裏付けがないために、説得力のある説明ができなかったのが、「こういうことをしたければ、こうすれば良い、これを使えば良い」と、具体的に言えるようになりました。

AI研修で得た知識を活かした今後の展望

AI研修で得た知識を活かした今後の展望

左から、金融ソリューション本部 金融ビジネス推進部 課長 高橋 清香、野沢 泰雅

Q. 今後、AI_STANDARDで得たAIの知識をどのように業務に活かしていきたいですか?
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高橋

同じ部署のメンバーのなかには、実際に自然言語処理などAIが関連する開発に携わっている者もいますが、現段階では、社内外を通してAI関連のプロジェクトはまだPoC※の域を出ない、製品化される前段階のものが多いと認識しています。お客様側でも、AIで何かできるのかを見極めたうえで、投資すべきか否かを判断しようとしているのが現状なのではないかと感じています。
そこで、習得した知識を活かしてAIを用いたPoCに留まらず製品化・システム化に向けたご提案も継続して推進していきたいと考えています。

また、メンバーがAI関連のプロジェクトに自信を持って取り組めるよう人材育成を継続していきたいと考えています。若手が新しい技術を習得して活躍できる場を広げてあげたいですね。

野沢

私は、より多くのAI案件に関わり自分のスキルを向上させつつ、AIをアプリケーションに組み込んで、サービスを提供したいと考えています。
具体的には、機械学習やディープラーニングを需要予測や文字認識に活用したり、自然言語処理を用いたチャットボットを開発したりといったことを業務で実現できたら良いと思います。

現時点では、まだ実証実験しか経験していないので、いずれは自分が関わったAI製品を一つでも世に出したいですね。

府川

AI開発は、発注者側から希望の仕様が出されるようなものではなく、最終的なユーザーの反応や評価は、本サービスとして実際にリリースしてみるまでわからない部分が大きいものです。現在はまだAI要素を組み込んだアプリケーションを世に出していないので、実際にユーザーに使われたときの反応をいつか、見てみたいですね。

※PoC…Proof of Concept(概念実証)の略で、新しい概念や理論などの実証を目的とした、施策開発前の段階での検証を指す。

AI研修で得た知識を活かした今後の展望

左から、金融ソリューション本部 金融ビジネス推進部 野沢 泰雅、主任 府川鉄平

※ 記載されている社名・商品名は、各社の商標または登録商標です。

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