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2019/12/26

実世界とサイバー世界の融合が進む!サイバーフィジカルシステム(CPS)とは?

実世界とサイバー世界の融合が進む!サイバーフィジカルシステム(CPS)とは?

「IT」という言葉が流行した20年ほど昔、世界は「情報化社会」を目指していました。
ITインフラが整備され、実世界とサイバー空間の融合が進み「情報社会」が手に入った現在、分野をまたいだデジタルの活用により「部分最適」から「全体最適」へ向かうアプローチとして、さらに効率的にさらに便利で豊かな生活を実現する「CPS/IoT社会」の実現が望まれています。

今回は、サイバーフィジカルシステム(CPS)をご紹介します。

1.サイバーフィジカルシステム(CPS)とは

サイバーフィジカルシステム(CPS)は、Cyber Physical Systemの頭文字を取ったもので、Physical System(実世界)でさまざまなところに組み込まれたセンサーなどから得られるデータを、Cyber System(サイバー空間)と結びつけることで、より良い高度な社会を実現するためのサービスやシステムのことを指します。

適用範囲としては「小規模組み込みシステム」から「自動車や航空機関連の大規模システム」「電力ネットワークなどの社会インフラシステム」などまで広範囲に適用されます。

従来は、実世界で起こっている事象の膨大なデータすべてをそのまま使用するのは困難だったため、ランダムサンプリングなどを行って全体傾向を推定していましたが、それでは漏れてしまうようなマイノリティデータが重要な役割を果たすことがわかってきています。現在は、データマイニング手法の高度化やマシンの高性能化、クラウドコンピューティングの普及により、ビッグデータの分析が可能になりました。実世界の膨大なデータをサイバー空間で分析し、そこから得られた示唆を新しい価値やビジネス創出に活かそうという動きが活発化しています。

「インターネットを検索すれば、どんな情報でも得られる」というのが現代の共通認識ですが、実は、ネット検索では得られない「ノンウェブ」の情報はその1,000倍以上もあるといわれています。サイバーフィジカルシステム(CPS)が求められている背景には、こうした膨大な情報を有効活用しようという風潮があります。

2.サイバーフィジカルシステム(CPS)とIoT

サイバーフィジカルシステム(CPS)と似ているものにIoTがあり、混同されがちですが、サイバーフィジカルシステム(CPS)にIoTが内包されている関係になります。サイバーフィジカルシステム(CPS)が扱うデータソースには、次の3種類があります。

・IoT(Internet of Things)…機械や設備に組み込まれたセンサーからのデータ。
・IoP(Internet of People)…モバイルやウェアラブルなど、人が持つデバイスからのデータ。人が持つ経験・スキル・ナレッジなども。
・IoS(Internet of Service)…注文・サポートなどのサービスを通じて得られたデータ。

つまり、IoTは、サイバーフィジカルシステム(CPS)が扱うデータの一部を生み出す仕組みということです。

3.日本におけるサイバーフィジカルシステム(CPS)

過去、日本政府の政策として、文部科学省が2011年度文部科学省委託業務「目的解決型のIT統合基盤技術研究開発の実現に向けたフィージビリティスタディ」を実施した実績がありましたが、現在日本では産業側からCPSを理解しようとする傾向が強く,CPS=IoT=Industrial Internet といったイメージが未だ強くあります。

日本で最も重要視されている技術が人工知能やIoT、ビッグデータに偏りがちなのはそのせいかもしれません。
とはいえプロダクト系組み込みソフトウェアは、日本で盛んに研究されており依然として世界から注目されています。

4.製造業でのサイバーフィジカルシステム(CPS)の活用事例

グローバル化や人件費の高騰など、製造業を取り巻く環境は厳しさを増しており、生き残りのためには積極的なデジタル活用がカギになるといわれています。そんななか、注目を集めているのがIoTを導入した「スマート工場」です。

スマート工場では、工場内にセンサーを設置して、生産管理やロス削減などを実現します。具体的には、工場内の「設備・機器」「ワーク(部品/製品)」「作業者(ウェアラブル/モバイル端末を携帯)」「搬送機械」などをネットワークでつなぎ、センサーを付けたそれらからデータを収集・分析することで生産性向上に役立てます。

従来、製造業において製品の品質や生産性は熟練作業スタッフの経験や勘に依存する傾向があり、属人的でした。そのため、企業にナレッジが残りにくく、非効率的な部分も少なからずあったといえます。

スマート工場では、前章でお伝えしたサイバーフィジカルシステム(CPS)の扱うデータのうち「IoT」「IoP」を取得できます。もし、製造者が注文受付やカスタマーサポートといった顧客対応も行っていれば、「IoS」も取得でき、製造に関するサイバーフィジカルシステム(CPS)に必要なほとんどのデータがカバーできるでしょう。あとは、それらをどのような手法で分析し、よりよい製造につなげるかです。

5.その他事例

スペイン バルセロナ市

バルセロナ市では、市内全域にWi-Fiを接続したスマートパーキングメーターを設置し、住民に駐車可能な地点の情報をリアルタイムで提供しています。また、スマートフォンでの駐車料金の支払いにも対応しており、生活の一部として根付いています。

JR東日本

JR東日本では鉄道電気設備におけるスマートメンテナンスの取り組みを行なっています。
2019年1月より常磐線、総武線、根岸線の約4,000箇所に、電線メンテナンスのための無線式センサーを導入し、2021年を目安に在来線を対象としてAIを搭載したカメラを使い、電線や架線金具の良否を自動で判定するシステムを導入するとしています。

ドイツ Industrie 4.0

ドイツでは、より効率的な管理システムの実現を目指し、サイバーフィジカルシステム(CPS)をベースに製造業を強化する試みを実施しています。ICTの徹底活用により、消費から生産までの過程を統合的に把握するシステムを構築するプロジェクトです。

製造工場内のさまざまな機器を通信ネットワークでつないだ「スマートファクトリー」を構築し、トヨタ生産方式のカイゼン活動を、現場の人間だけでなく、センサーからの情報をコンピューターで解析することにより効率化・迅速化を計っています。

6.まとめ

IoTを含むサイバーフィジカルシステム(CPS)は今後の情報社会をはじめ、さまざまな分野で影響を及ぼしていくでしょう。

サイバーフィジカルシステム(CPS)の導入は、自社の生産性を高めたりナレッジを蓄積したりと、競争力強化に貢献しますが、真の力は分野の垣根を超えた価値創出や課題解決にあります。そしてサイバーフィジカルシステム(CPS)を基盤として新たなビジネスが発展されることも期待されています。ぜひ、広い視野をもって活用法を検討したいところです。

まずは、自社が取得できるデータの種類を棚卸しするところからスタートしてみてはいかがでしょうか。

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