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SAPとは?2025年問題とは?

SAPとは?2025年問題とは?

以前、当メディアでも取り上げたことのある「2025年問題」。2019年12月現在からカウントして、2025年まで残り6年となりました。

今回は、2025年までに対応を行わないまま突入した場合に想定される問題点と、具体的に何を行えば良いかを解説いたします。

 

 

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いまさら聞けない SAPって何?

2025年問題の当事者となるSAPユーザー以外にとっては、そもそも「SAP」が身近ではないかもしれません。

SAPとは、ERPパッケージベンダーの最大手、独SAP社が開発・提供しているERPパッケージの一つです。ERPとは、基幹業務システムのことで、企業の経営資源を有効活用して経営を効率化するために仕入れから製造、販売といった事業そのものに関連する業務に加え、人事や経理といった会社の運営を支える業務まで、すべての業務に使用するデータを一元管理するためのシステムです。

このようなさまざまな業務分野に対応すべく、SAPには、SD(販売管理)、MM(在庫購買管理)、PP(生産計画/管理)、PS(プロジェクト管理)、FI(財務会計)、CO(管理会計)、HR(人事管理)といったさまざまなモジュールが用意されています。 自社に必要なモジュールを組み合わせるほか、独自にアドオンを開発するなどのカスタマイズが可能です。

国産ERPパッケージと異なり、日本の商習慣、業務のフローにそぐわない点(一度入力したデータは削除できないなど)や独自の表現・言葉があり、使用するなかでこれらに慣れていく必要があります。

 

 

2025年問題までに行うこと

さて、本題の「2025年問題」に話を戻しましょう。「2025年問題」とは、簡単にいうと、「SAP ERP」や「SAP Business Suite」の保守が2025年で終了してしまうことです。
日本国内のSAPユーザーは2,000社ともいわれており、影響範囲は少なくありません。

では、SAPユーザーは2025年までに何をすれば良いのでしょうか?
大きく分けて2つの選択肢があります。

一つは、後継製品である「S/4HANA」に移行する方法で、SAPが推奨しています。この方法のメリットは、引き続きSAP製品を使用しサポートを受けられるという点で、SAP製品と相性が良いと感じている企業が選択すべき方法でしょう。

ただ、すでに既存のSAP上で4桁に上るアドオンを開発・運用している企業などもあり、そこまでではなくても大規模なカスタマイズを施しているケースなどでは、移行に際し大がかりなシステム改修を行うか、業務自体を改革する必要が出てきます。

あまりカスタマイズしていないという企業の場合も、「S/4HANA」に変わることで、マスターの得意先/仕入先が統合されたり品目元帳の設定が使用の有無に関わらず必須になったりと、変更箇所がいくつかあるため、2025年間近になって駆け込みで移行に取りかかるのではなく、スケジュールに余裕をもって移行リハーサルを周到に行う必要があるでしょう。

もう一つは、このタイミングでSAPから別のERPパッケージへ乗り換えるという選択肢です。たとえば、日本のビジネスの実情に合わせて設計された国産ERPへ移行する、パブリッククラウドへ移行するなどです。

この場合も、メリット・デメリットの両方があり、より自社のニーズや業務フローに沿ったERPを選定し直す良いチャンスと取れる一方で、移行に伴いハードウェアを含めたリプレースが生じるなど、移行作業はやはり大がかりなものとなる可能性があります。

自社の業務フローや社員のシステムとの関わり方、システム担当者のリソース、予算といった内的環境に加え、業界動向や市場などの外的環境まで、ERPを取り巻く状況を多面的に分析したうえでどういった対応を選ぶべきか検討する必要があります。

 

 

このまま2025年を迎えると何が問題?

もしも、前章でお伝えしたような対策を取らなかった場合、つまり何の対策も取らずに既存のSAPを使い続けると、具体的にどんな問題が起こるのでしょうか?

2025年になったからといって既存のSAPが使えなくなるわけではないため、すぐに大きな問題が起きるというわけではありません。
ただ、サポートが打ち切られることで、以下のような状況に陥ります。

  • ①システムに障害が起きた際のサポートをしてもらえなくなる
  • ②公式な脆弱性情報やインシデント情報が提供されなくなる
  • ③修正プログラムが提供されなくなる

このうち、②については、ユーザーコミュニティなどで得ることもできるでしょうが、脆弱性が明らかになったところでパッチが入手できなければ意味がありません。

致命的なのが①です。SAP社以外の第三者サポートを受けるという方法もありますが、システムのコアなデータを保有しているのは正規ベンダーのみのため、保守ベンダーがカバーできる範囲は限られています。最悪の場合、システム停止となって業務ができなくなり、場合によっては取引先などから損害賠償責任を問われる事態に発展する恐れもあります。

 

 

SAPは継続的なアップデートが重要

SAPの使用を続けるのであれば、継続的なアップデートが前提条件となります。

もともと、SAP社が2025年で既存の「SAP ERP」や「SAP R/3」のサポートを打ち切る決定を行ったのも、「SAP S/4HANA」に提供サービスをシフトしていくためです。
過去の製品は、ERPの機能充実によるシステムの肥大化により、リアルタイム性が失われてしまいました。ビッグデータの活用など、これからのシステムには、より膨大なデータの迅速な処理をリアルタイムに行うことが求められます。
こうした「より時代に合ったシステム」を実現し、競争力を維持するためには、継続的なアップデートが不可欠です。

また、旧バージョンのSAPを使い続けるために、対応OSもアップデートできなくなり、それに伴いERP以外のシステムも老朽化していきます。

「2025年問題」に際し、どの選択肢を取るかは各社の状況・戦略により分かれますが、SAPを使い続ける選択をした場合、2025年以降についてもアップデートを前提に運用を考えるべきでしょう。

 

 

まとめ

「2025年問題」に際し、どの選択肢を取るかは各社の状況・戦略により分かれますが、SAPを使い続ける選択をした場合、2025年以降についてもアップデートを前提に運用を考えるべきでしょう。

どの選択肢を取るべきなのか?を検討するのは、自社の状況だけを考えるだけでなく、どのERP会社がマッチしているのか?という部分から検討しなければいけないので、非常に難しい問題だと思います。

しかし「基幹システムを抜本的に見直す」という、そうそうないこの機会を活かして、システム担当者もエンドユーザーも、ひいては会社にとっても有意義な結果を得られるよう、前向きにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

※記載されている社名・商品名は、各社の商標または登録商標です。

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