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DX導入前にやるべきこととは? BPRによる業務プロセス見直しの重要性

DX導入前にやるべきこととは? BPRによる業務プロセス見直しの重要性

DXによる業務改善に興味があるが、いったいどこからどのように行えば良いのか──そんなお悩みをお持ちではありませんか? 目的や範囲を想定しない、導入そのものが目的となったDXは、かえって業務の煩雑化やリソースの消費につながりかねません。

業務の効率化につながる的確なDXのためには、まず現状の業務プロセスそのものを見直すことが不可欠です。今回は、そのために有効な手法であるBPR(Business Process Re-engineering=業務プロセス再構築)について解説します。

同一リソースで組織の生産性を上げ、DX化のリスクを軽減するBPR

BPRは、業務全体のプロセスを再構築する手法です。業務のスタートからゴールにいたるまでの一連の流れを根本的に見直し、より良い形に改善していくことで、新たなビジネスの流れに対応できる環境を作ります。

BPRによってもたらされる具体的なメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

(1)生産性の向上

業務プロセスの最適化や自動化などによって生産性が向上し、同じリソースでより多くの業務を遂行できるようになります。

(2)意思決定の迅速化

情報の流れや連絡の迅速化が実現されることで意思決定プロセスがスムーズになり、新たなビジネスの機会を素早く捉えられるようになります。

(3)顧客満足度、従業員満足度の向上

BPRは顧客志向のアプローチを強化し、顧客満足度を向上させます。また、業務プロセスの改善によって従業員の仕事を効率化し、従業員の満足度を高めることにもつながります。

(4)DXの効果の最大化

業務プロセスの効率化は、組織がデジタル環境に順応しやすい土壌を作り、DXの効果を最大化します。

(5)業務コストの削減

無駄な業務やリソースの消費をおさえ、組織の運用コストを低減することで、企業としての収益性向上が期待できます。

(6)新たなビジネスモデルへの対応

BPRは既存のビジネスモデルを見直し、新たなビジネスモデルへの対応を可能にします。これにより、企業としての競争力を維持しながら、さらに新たな市場を開拓するチャンスが見込めます。

継続的なBPRを実現するための5つのプロセス

BPRのプロセスは、大きく5つの段階に分かれます。

(1)導入の検討

まず、BPRを実施する目的と目標を明確化します。社内のメンバーや取引先など利害関係者などに対してヒアリングを行い、具体的な対象範囲と改善方針を定めます。

(2)業務内容、フロー、組織の把握、分析

対象範囲を定めたら、現状の業務プロセスを詳細に調査し、その内容やフロー、およびそれらが関連する組織を把握します。具体的にはデータ収集やプロセスマッピングなどの手段を駆使して問題箇所を特定し、組織における現状を明らかにします。

(3)戦略設計

情報収集と分析に基づいて、新しいプロセスの設計や改善点の特定、技術の導入、リソース配分などを計画し、BPRの戦略を設計します。

(4)実行

戦略に基づいて、新しいプロセスやシステムの導入、そのトレーニング、リソースの配置や変更管理などを行っていきます。

(5)改善

BPRの実施後、変更された業務プロセスをモニタリングしながら、パフォーマンスへの影響を調査し、関係者からフィードバックを収集します。これによって新たな問題を洗い出し、さらなる改善策を立てていきます。

BPRの真髄は、絶え間なく業務を最適化し続ける仕組みづくりにあります。継続的なBPRは業務プロセスの効率と効果を向上させ、組織としての競争力強化につながります。

BPRで大きな成果を上げているのはどんな業界?

すでに、さまざまな業界がBPRによって業務スピードを加速させ、新たなビジネス領域を創出しています。

例えば、金融業界ではオンラインバンキングやデジタル決済の導入によって利便化が進み、さらに仮想通貨などはDX化と新たな市場作りの両方につながりました。ヘルスケア業界では、電子カルテによって患者データを効率的に管理できるようになり、来院しなくてもネットやアプリで診察予約が行える体制が整ってきています。

自動車業界においても、製造工程をBPRによって見直し、DX化することで、製造から生産管理部門では製品における不具合発生状況の把握、営業部門では車種別の収益状況などそれぞれの職務におけるKPIに沿ったモニタリングが可能になりました。これによって経営層は資源を配分、集中させるべき箇所が明確となり、ビジネス全体の意思決定を迅速化させることに成功しています。

このように、BPRは組織がもともと持つ価値創造の力を研ぎ澄まし、ポテンシャルを最大限に引き出すため、業務の効率化を図るDX推進の手法の一つとして有効といえるでしょう。

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まとめ

的確なDXは業務の効率化と新たなビジネス価値の創造をもたらします。効果を最大化させるためには、既存業務のプロセスを振り返り、根本から見直すことが必要不可欠です。そのための手法として有効なのがBPRです。

BPRとは、業務のスタートからゴールにいたるまでの一連の流れを根本的に見直し、より良い形に改善することで新たなビジネスの流れに対応できる環境を構築する手法です。これにより、DXの効果を最大化できるほか、無駄な業務やリソースの浪費をおさえ、企業としての収益性や顧客、従業員の満足度を上げることができます。

BPRの導入にあたっては、社内のメンバーや取引先など利害関係者などに対してヒアリングを行い、組織における現状を把握したうえで、具体的な問題箇所を洗い出し、新しいプロセスの設計や改善点の特定、技術の導入、リソース配分を計画します。実施後はモニタリングを行いながら、パフォーマンスへの影響を調査し、関係者からの評価を得ることによって新たな改善点を見出し、絶え間なく業務を最適化し続けます。

すでに、金融業界やヘルスケア業界、自動車業界などが、BPRによって業務スピードを加速させ、新たなビジネス領域を創出しています。BPRは、組織がもともと持つ価値創造の力を研ぎ澄まし、ポテンシャルを最大限に引き出します。

アイネスでは、多くのお客様である自治体様についても、ITパートナーとしてBPR施策の実現を支援しています。その一つとして、埼玉県川口市では「標準化後の事務を見据えた現状業務の調査・分析、BPR施策検討」を実施し、システムの標準化・共通化を見据えた業務の効率化と窓口における顧客体験の向上を推進しています。

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