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内閣府の発表によれば、日本の総人口は2053年には1億人を割ることが予想されています。
人口減少による労働生産性の低下や経済成長の鈍化が専門家などから指摘されていますが、これは自治体運営についてもいえます。
総務省は、2018年7月に高齢者人口がピークを迎える2040年をシミュレーションした「自治体戦略2040構想研究会 第二次報告」を発表しています。その中で、内政上の危機とその対応が述べられており、自治体行政は、ICTの活用を前提として展開する必要があると提言しています。
2019年4月には「スマート自治体の推進について」という資料も発表されており、「AI・RPAを含めたICT活用の進め方」を提言しています。
今回は、「スマート自治体」に関する基本情報と、実現のヒントをご紹介します。
スマート自治体研究会(正式名称:「地方自治体における業務プロセス・システムの標準化及びAI・ロボティクスの活用に関する研究会」)の定義によれば、スマート自治体とは、人口減少が深刻化しても自治体が持続可能なかたちで行政サービスを提供し続け、住民福祉の水準を維持し、職員を事務作業から解放して職員でなければできない、より価値のある業務に注力し、ベテラン職員の経験をAI等に蓄積・代替することで団体の規模・能力や職員の経験年数に関わらずミスなく事務処理を行える自治体を指します。
さらに、各自治体で使用しているシステムを標準化することで、RPAなどの横展開や共同購入を進め、コスト削減につなげることも想定されています。
冒頭で、2053年に人口が1億人を割るという予測について触れましたが、もう少し前の2040年には、全国の自治体の約4分の1で人口が半減することが予測されています。より少ない職員数で、過疎化する地方はもとよりスポンジ化していく都市部に対しても、多様化するニーズに応えつつ一定水準以上の行政サービスを提供することが困難になると考えられています。
また、高齢者人口がピークを迎えるとされ、労働力が不足した結果、税収が落ち込む一方で社会保障費やインフラ修繕費が増加し、行政の支出は増大するとみられています。
経営資源が制約されるなかで従来以上の行政サービス提供を維持するためには、各自治体単体でのサービス提供にこだわらず、自治体間での連携が求められます。
このため、システムの標準化も不可欠となり、テクノロジーの活用により業務を自動化・省力化・効率化することが必要です。
では、実際にスマート自治体を実現するためには、具体的にどのようなテクノロジーを活用できるのでしょうか。これまでの記事と併せてご紹介します。
AIとは、Artifical Intelligenceの頭文字を取ったもので、言語の理解や推論、問題解決などの知的行動をコンピューターに代行させる技術のことです。
自治体での活用例としては、問い合わせ対応や、観光客に対する多言語対応も含むコンシェルジュなどで自治体の開庁時間外にもサービスを提供したり、道路の点検にAIに画像を読み込ませて自動判定し、効率化・省力化を実現する、気象データ・土壌データ等を解析させて農業を最適化、ケアマネジャーのケアプラン作成支援、会議録の作成など、さまざまなアイデアが考えられます。
RPAとは、Robotic Process Automationの頭文字を取ったもので、ロボットを使って業務を自動化することを指します。
自治体での活用例としては、残業代や税金(ふるさと納税)の計算業務の自動化や、OCRと組み合わせることで紙の申請用紙からコンピューターへの自動入力を行わせるなどが考えられます。
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自治体クラウドは、複数の自治体の情報システムの集約と共同利用を推進し 、システムの稼働率の向上と保守業務等の効率的運用を図る取り組みです。現在、自治体における(住民基本台帳、税務、福祉など)情報システムやデータを外部のデータセンターで管理・運用する「自治体クラウド」への移行が推進されています。
システムの共同クラウド化では、コストの削減、業務の標準化・共通化、情報セキュリティ水準の向上、災害時の業務継続性の確保など、さまざまな効果が期待されています。自治体クラウドの導入によって削減された費用を行政サービスのさらなる向上のために活用したり、そこに投入されていた人的資源を「人」にしかできない分野の行政サービスに注力したりすることは、スマート自治体がもたらす大きなメリットです。
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さまざまなICTの活用と、総務省が進める「自治体クラウド」をかけ合わせれば、財源や人員不足に悩む中小の自治体においてもスマート自治体の実現が可能になります。
「スマート自治体」の実現よって、住民・企業等の利用者にとっての利便性向上と、自治体が行政上の諸課題に的確に対応し、持続可能な形で、質の高い行政サービスを提供でいることを目指しています。
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