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顧客をデータ分析!小売店が生き残るための方法

顧客をデータ分析!小売店が生き残るための方法

Amazonを始めとするECの台頭や新型コロナウイルス感染拡大など、小売店を圧迫する脅威は次々に現れ、際限がありません。
厳しいビジネス環境の中で、小売店が生き残るための道とは何でしょうか?

経済産業省と総務省、IoT推進コンソーシアムは平成30(2018)年8月に「新たなデータ流通取引に関する検討事例集」を発表し、この冒頭で、日本は従来、製造業のプロセスを見える化するとともに顧客ニーズを吸い上げて生産・開発にフィードバックするという方法で世界的な競争力を維持してきたとし、今後は国家予算を投下して分野横断的にデータを活用していくと述べています。

本コラムでは、小売店が特に顧客に関するデータを分析・活用することで競合に対する優位性を持ち、生き残るための方法を探ります。

顧客分析が必要な理由

改めて、顧客分析を行う必要性について考えてみましょう。
ビジネスにおけるデータ分析では、3C分析に代表されるように、最低限、「市場、競合、自社」の3つの分析は欠かせません。
顧客分析は市場分析に含まれ、顧客属性や購買行動、ロイヤルティなどを分析します。
顧客分析を行うことで、「なぜ売れたのか?」、逆に「なぜ売れなかったのか?」を理解できるようになり、販促や商品開発などの改善につなげられるようになります。

分析を行う顧客データとしては、ポイントカードなどの会員登録時の属性データや、購買時にPOSシステムから取得したり会員情報と紐づけた購買金額や頻度などのデータが収集・活用できます。

顧客の購買行動を分析する方法

顧客分析にはいくつかの手法がありますが、ここでは代表的なものとして「RFM分析」「デシル分析」の2つをご紹介いたします。

RFM分析

RFM分析は、顧客を「Recency(直近購買日)」、「Frequency(購入頻度)」、「Monetary(購入金額)」の3つの切り口で並べ替えてグルーピングし、そこから得られる示唆を活用しようという分析方法です。

Recency(直近購買日)

顧客を最終購入日で並べ替えます。
一般的に、Recency(直近購買日)が高い顧客ほど将来的に利益に貢献してくれる可能性が高く、逆に低ければ競合他社に奪われている可能性が高いと考えられます。

Frequency(購入頻度)

顧客を購入頻度で並べ替えます。
一般的に、Frequency(購入頻度)が高い顧客ほど優良顧客と考えられます。低い顧客層が薄い場合は、新規顧客が少ないということなので、獲得のための施策が必要だと考えられます。
Recency(直近購買日)が同じ顧客なら、Frequency(購入頻度)が高い顧客の方が常連客だと判断できます。

また、Frequency(購入頻度)の推移を見たときに下がっている顧客は競合他社に奪われている可能性が高いです。

Monetary(購入金額)

顧客を購入金額で並べ替えます。
一般的に、Monetary(購入金額)が高い顧客ほど優良顧客だと考えられます。

また、Recency(直近購買日)やFrequency(購入頻度)が高くても、Monetary(購入金額)が低い顧客は購買力が低いと判断できます。

このMonetary(購入金額)を10段階に分けて分析するのが次にご紹介する「デシル分析」です。

デシル分析

デシル分析は、自社の全顧客を購入金額が多い順に並べ替えた上で10等分し、そこから得られる示唆を活用しようという分析方法です。

10グループそれぞれの購入金額を集計し、それが総売上に対して何パーセントを占めているかを算出します。
さらに、上位のグループから類計してどれだけの比率を占めているか(累積購入金額比率)を計算します。

この結果から、どこまでのグループで売上の過半数を占めるのかなどを見ていくことで、マーケティング施策などに活用できます。
ただし、長期にわたる売上データを扱うのには向いていません。

顧客分析のポイント

上記の顧客分析のほか、顧客分析を行う際には、以下のようなポイントに着眼すると良いでしょう。

自社にとっての優良顧客の定義

上記分析により優良顧客が明らかになってきますが、自社としてどの層を獲得・拡大していきたいのかを十分に検討しましょう。たとえば、一回の購入金額が大きい層よりも細く長く購入してくれる層を拡大するとか、バランス配分を考えるといったことです。
その上で、顧客の属性からペルソナを設計しておくと、商品企画や販促企画を行う際の拠り所となり、ブレずに一貫性のある施策設計が行えます。

顧客ニーズの把握

データから把握した顧客ニーズをさらに掘り下げていくことが大切です。

具体的な方法としては、インターネット上の口コミやSNS上の投稿調査、アンケート調査などが手軽ですが、必要に応じ、顧客に直接インタビューする場を設けて生の声を収集することも重要です。
インタビューの実施には手間と時間がかかりますが、直哲的なニーズのほかにトレンドや価値観といった雑感も吸い上げることができます。

顧客の購買プロセスの把握

マーケティング施策やプロモーション施策を検討する上で把握しておきたいのが、ターゲット層の購買プロセスです。「自社にとっての優良顧客の定義」でペルソナを作成する際にも必要です。

一般的な購買プロセスとして「AIDMA(アイドマ)」や「AIDA(アイダ)」「AISAS(アイサス)」などが提唱されていますが、おおまかに次のようなプロセスを経て購買に至ります。

1.注意…注意を引かれる
2.関心…商品に関心を寄せる
3.欲求…商品が欲しいという欲求を持つ
4.行動…購入する

以上を基準に、自社顧客の購買プロセスをできるだけ詳細に把握しましょう。
たとえば、「関心」のプロセスが長くなかなか「欲求」のプロセスに移らないということがわかれば、「欲求」を刺激するキャンペーンを多めに実施するといった具合です。

買わない顧客の分析方法とは?

一般的に「顧客分析」といえば、一度は購入してくれたことのある顧客の属性や購買内容などを分析しますが、逆に「購入してくれなかった顧客」を分析すれば、なぜ購入に至らなかったのかという課題の解消につなげられるなど、高い価値が見込めます。

ただ、購入しなかった顧客は購入してくれた顧客と違って小売店側にデータを多く残してくれるわけではないため、最初のデータ収集の時点でハードルがあります。

買わない顧客の具体的なデータ収集方法としては、入り口や店内に顔認証などの機能を持つカメラを設置し、来店客の人数や性別、年齢層などを分析・収集するといったものが考えられます。

収集したデータは、新しい販売施策の企画や、チラシ・販促物の効果測定、新店舗の開発企画などにつながるでしょう。

まとめ

顧客分析を行うことで、新商品開発や販促企画のほか、新店舗開発、チラシ・販促物の効果測定などを改善することができるようになります。

具体的な手法としては、RFM分析、デシル分析などがあり、自社にとっての優良顧客の定義し、顧客ニーズを把握したうえで、購買プロセスを含むペルソナを設計すると良いでしょう。

さらに、購買してくれた顧客のみならず、購買に至らなかった顧客の分析も行い、さらなる売り上げの向上を狙いましょう。

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