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自治体ネットワークの「三層分離」は今後どう変わる? βモデル・ゼロトラスト時代の最新動向をわかりやすく解説

自治体ネットワークの「三層分離」は今後どう変わる? βモデル・ゼロトラスト時代の最新動向をわかりやすく解説

「自治体DXを進めたいけれど、三層分離のせいでクラウドサービスやテレワークが導入しづらい……」そんな課題を抱えていませんか?

ガバメントクラウドの本格展開により、自治体セキュリティは「ネットワークを守る」から「利用者・認証を守る」時代へとパラダイムシフトを迎えています。そこで総務省が提示した新方針が「βモデル」であり、その核となるのが「ゼロトラスト」の概念です。

本記事を読めば、これからの自治体ネットワークがどう変わるのか、そして現場が今すべき具体的なアクションが明確になります。後半では、パソコン1台でのセキュアな業務環境を実現し、構築期間とコストを大幅に削減した自治体様のリアルな導入事例もご紹介します。

1.三層分離とは?導入の背景とメリット

まずは、現在の自治体ネットワークの基盤となっている「三層分離(三層の対策)」について、その歴史的背景と果たしてきた役割をおさらいします。

三層分離が導入された背景

三層分離は、2015(平成27)年頃に発生した大規模な情報漏えい事件を契機として、総務省が自治体情報セキュリティ強化策として推進したネットワーク構成です。
当時の目的は、「住民情報をインターネットから完全に隔離する」ことでした。自治体では住民情報や税情報、福祉情報など機密性の高いデータを扱うため、極めて高いセキュリティ対策が必要とされたのです。

三層分離のネットワーク構造

具体的には、自治体のネットワークを役割に応じて以下の3つの層(セグメント)に分離しました。

層(セグメント) 役割と扱うデータ
マイナンバー利用事務系 住民情報など重要情報を扱う
LGWAN 接続系 行政内部業務を行う
インターネット接続系 メール・Web 閲覧などを行う

この強固な構成によって、外部からのサイバー攻撃リスクは大きく低減されることとなりました。

三層分離のメリット

導入から約10年間、多くの自治体でこの三層分離は以下のような絶大な効果を発揮してきました。

  • 情報漏えいリスクの低減
    住民情報をインターネットから切り離すことで、外部からの不正アクセスを強力に防止できます。
  • ランサムウェア対策
    万が一インターネット接続系がマルウェア等に感染しても、重要システムへの影響を最小限に抑えられます。
  • セキュリティルールの標準化
    全国自治体で共通した高いセキュリティ水準を確保することが可能となりました。

2.三層分離が抱える3つの課題

インターネットの脅威から自治体を守り抜いた三層分離ですが、時代の変化に伴い、運用の「重さ」や「非効率性」に起因する様々な課題が見えてきました。

課題①:ファイル受け渡しが煩雑
インターネットから受信した添付ファイルなどを、業務を行う別のセグメントに持ち込むには、以下の工程を経る必要があります。
  • 無害化処理
  • USB 媒体の利用
  • 専用システムの活用
このように複数の工程を経る必要があるため、担当者からは「資料1つ渡すだけで時間がかかる」という業務効率上の不満が少なくありません。
課題②:SaaS(クラウドサービス)が利用しづらい
近年のビジネスや行政において、以下のような便利なパブリッククラウド(SaaS)の活用は業務効率化に不可欠となっています。
  • Microsoft 365
  • Google Workspace
  • Box
  • Slack
  • Zoom
しかし、主要な行政業務を行う LGWAN 側では利用制限があり、自治体 DX を推進したくても業務改善が進みにくいという深刻な課題があります。
課題③:テレワークとの相性が悪い
新型コロナウイルス感染症の流行以降、自治体においても柔軟な働き方が求められるようになりました。
  • 在宅勤務
  • モバイルワーク
  • BYOD(個人端末の業務利用)
しかし、従来の三層分離は「庁舎内での利用」が大前提として設計されていたため、庁外からの安全なアクセスを実現するための運用負荷やコストが著しく増加しています。

3.ガバメントクラウドが変えた前提

三層分離の見直しを決定づけた最大のパラダイムシフトが、ガバメントクラウドの本格展開です。
従来は「庁内にあるサーバーをどう守るか」という境界型の考え方が中心でした。しかし現在は、「クラウド上のサービスを安全に利用する」ことへと、セキュリティの前提そのものが変わっています。
つまり、セキュリティのあり方は「ネットワークを守る時代」から、「利用者を守る時代」へと完全に移行しているのです。

4.総務省が提示する新モデル「βモデル」とは?

βモデルの基本思想

総務省が提示するβモデルの基本思想とは、主要な業務システムをインターネット側に配置し、場所ではなく強固な認証とアクセス制御によって安全性を確保するネットワーク構成のことです。 従来の考え方では「LGWAN=安全、インターネット=危険」とされていましたが、βモデルでは「どこからアクセスしても、本人確認(認証)を必ず毎回行う」というアプローチへ進化します。

5.βモデルの核となる「ゼロトラスト」とは?

βモデルのネットワーク環境を実現する上で、最も重要になるのがゼロトラスト(Zero Trust)の概念です。

ゼロトラストの本質

ゼロトラストとは、単に「何も信用しない」というネガティブな意味ではありません。正確には、「ネットワークの場所を信用せず、アクセスのたびに毎回認証する」という徹底した安全管理の考え方です。

ゼロトラストを構成するセキュリティ要素

自治体のゼロトラスト環境では、以下のような高度なソリューションを組み合わせて安全性を極限まで高めます。

  • 多要素認証(MFA)
    パスワードだけに頼らない強固な本人確認
  • ID管理
    クラウド上での職員アカウントの一元制御
  • 端末証明書
    許可された安全なデバイスのみアクセスを許容
  • アクセスログ監視
    不審な挙動をリアルタイムで検知
  • 条件付きアクセス
    職員の状況や環境(時間、場所、端末状態)に応じたアクセス認可

6.三層分離は廃止されるのか?

結論から言えば、三層分離が完全になくなるわけではありません
住民情報を守るという自治体の最も重要な目的は、今後も変わることはありません。変わるのは、その情報を「守る方法」です。
これまでの物理的なネットワーク分離から、今後は認証やID管理を中心とした、より高度で論理的なセキュリティ(ゼロトラスト)へと進化を遂げていきます。

7.自治体が今から取り組むべき「6つのステップ」

ゼロトラストやβモデルへの移行は、一度にすべてを進められるものではありません。自治体の現場においては、次のような段階的な取り組みが極めて現実的かつ効果的です。

  • ①現状業務の棚卸し
    どの業務でどんなデータを取り扱っているかを明確にします。
  • ②移行対象業務の選定
    インターネット側、あるいはガバメントクラウドへ移行できる業務を洗い出します。
  • ③SaaS利用ルールの策定
    安全にパブリッククラウドを活用するためのセキュリティポリシーを整備します。
  • ④多要素認証(MFA)の導入
    なりすましを防ぐため、認証の壁を最優先で強化します。
  • ⑤ID管理の統合
    職員のアカウントを一元的に管理・制御できる体制を構築します。
  • ⑥職員向けセキュリティ教育の実施
    技術的な対策だけでなく、運用ルールの遵守やリテラシー向上を徹底します。

8.【自社支援事例】成功例と具体的な導入効果

【三層分離の効率化/端末集約】
物理的な複数端末の運用から脱却し、パソコン1台での業務環境を実現
埼玉県八潮市様
導入ソリューション: 「リモート PC アレイ」
背景・課題
新庁舎の開庁にあたり「働きやすさ」を追求する中で、国のセキュリティガイドラインに沿った「三層分離」により、職員が複数のネットワーク接続用端末(パソコン)を使い分けなければならず、業務の煩雑さや限られたデスクスペースの圧迫が大きな課題となっていた。コスト負担の大きい仮想デスクトップ(VDI)に代わる、現実的かつセキュアな解決策が求められていた。
成果
「リモート PC アレイ」を導入し、手元の LGWAN 系パソコン1台から異なるネットワーク(マイナンバー利用事務系など)へ安全にリモートアクセスできる環境を構築。これによりデスク上の端末数を削減し、業務スペースの確保と劇的なバックオフィス効率化を同時に達成した。一般的な VDI の導入と比較して、設計・構築期間を約 1/3 に短縮し、コストも約 30~50%削減することに成功。今後は本インフラを活用したテレワークへの展開も視野に入れている。

9.よくある質問(FAQ)

Q1. 三層分離はなくなりますか?

いいえ、なくなりません。住民情報を守るという根本的な考え方は残りますが、ガバメントクラウドやSaaSを活用する時代に合わせて、運用の方法が物理的な分離から論理的な認証へと変わります。

Q2. βモデルとは何ですか?

ゼロトラストを前提とした、新しい自治体ネットワークモデルです。主要な業務システムをインターネット側に配置し、強固な認証によってどこからでも安全に、かつ効率的に業務を行えるようにする仕組みです。

Q3. ゼロトラストとは?

ネットワークの場所(内か外か)ではなく、利用者・端末・アクセス状況を「毎回確認」して安全性を確保するセキュリティの考え方です。

10.まとめ

三層分離は、これまで自治体の情報セキュリティを支えてきた非常に重要な仕組みです。しかし、自治体DXやガバメントクラウドの普及が進む現在、従来の「ネットワークを物理的に分離して守る」というアプローチだけでは、多様化する業務や利便性への対応が難しくなっています。

これからの自治体セキュリティは、βモデルやゼロトラストを活用し、「人・端末・認証」を中心とした新しいセキュリティ体制へ移行することが重要です。

自治体ごとに置かれている状況や予算、既存システムのライフサイクルは異なりますが、まずは現在の業務フローを丁寧に整理し、クラウド化できる業務から段階的に見直していくことが、真の自治体DX推進への確実な第一歩となります。

※「リモートPCアレイ」は、アセンテック株式会社の登録商標です。
※「Microsoft 365」は、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
※「Google Workspace」は、Google LLCの商標または登録商標です。
※「Box」は、Box, Incの商標または登録商標です。
※「Slack」は、Salesforce, Inc.の商標または登録商標です。
※「Zoom」は、Zoom Video Communications, Inc.の商標または登録商標です。
※その他、本稿に記載されている会社名、製品名、サービス名は、一般に各社の商標または登録商標です。

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