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【レポート】ChatGPTの導入について ~最新のテクノロジーを職員皆で体験する

【レポート】ChatGPTの導入について ~最新のテクノロジーを職員皆で体験する

アイネスは、2023年10月5日(木)~6日(金)に、幕張メッセで開催された「地方自治情報化推進フェア2023」に出展し、「AI相談パートナー」や「手続きBaton」といった自治体向けのさまざまなソリューションを展示しました。

本コラムでは、ベンダープレゼンテーションとして、横須賀市経営企画部デジタル・ガバメント推進室長の寒川 孝之氏が登壇した「ChatGPTの導入について ~最新のテクノロジーを職員皆で体験する」の模様をダイジェストでレポートいたします。

コロナ禍を背景にビジネスチャットツールとChatGPTを導入

ChatGPTの導入について

横須賀市では、自治体業務への先進的なDX推進に取り組んでおり、生成AIの代表格となりつつあるChatGPTの自治体業務への活用検討を進めています。

その取り組みの中から見えてきた有用性や課題、今後の展望について、講演いただきました。

横須賀市では、コロナ禍を背景に市長の指示をきっかけに2023年4月3日にChatGPT活用検討チームを発足。同18日には、全国で自治体として初めてChatGPTの全庁的な活用実証を開始したことを発表しました。

横須賀市におけるChatGPTの利用環境

横須賀市も、多くの自治体と同様、ネットワークが三層の構えになっているため、業務端末からは、Webサービス版のChat GPTにはアクセスできませんでした。

また、2023年3月にOPEN AIの利用規約が変更になり、API利用による内容は学習に利用されないことが明言されたことから、自治体向けのビジネスチャットツール、さらに、職員の内製によるサーバーを介して、API連携でChatGPTに接続しているといいます。

ビジネスチャットツールをChat GPTへの入り口にすることで、シャドーITを防止する意図もあったそうです。

横須賀市が取った3つの情報セキュリティ対策

ChatGPTの導入について
画像引用元:当日の登壇資料より引用

Chat GPT経由で個人情報や機密情報が漏えいしないよう、OpenAI社の規約に基づきAPI経由で利用するとともに、オプトアウト申請を行い、入力情報が学習に使われないように対処。さらに、職員に機密情報や個人情報を入力しないように指導したといいます。

実証開始の発表後、テレビや新聞などのメディアに取り上げられた際も、個人情報漏えいの防止策についての説明に注力した結果、マイナスイメージの報道をされることはなかったそう。

ただし、職員を厳格なルールで縛っているわけではなく、最低限のルールだけ守ってもらい、比較的、自由に使ってもらっているとのことです。

横須賀市職員のChat GPT活用事例

ChatGPTの導入について
画像引用元:当日の登壇資料より引用

横須賀市では、4月20日に実証を開始後、職員向けに情報誌を制作・提供しながら活用したもらい、2回のアンケート実施を経て、6月5日に本格導入に踏み切りました。
なお、実証中にかかった費用は、人件費を除いて1万円弱だったといいます。

実証中の職員のChat GPT活用事例として、次の5点が紹介されました。

・消防局で、消防用設備の検査や指導のための文書案を作成
→年間で40時間の業務時間削減が見込める

・介護現場で、アンケートの概要を高校生に説明するための文書案を作成
→年間で40時間の業務時間削減が見込める

・税務部で、データ分析のためのExcelファイル(関数)を作成
→年間で24.5時間の業務時間削減が見込める

・自己理解を深めるための壁打ち
→年間で120時間の業務時間削減が見込める

文書作成事務における業務時間短縮の想定(概算)は、1,913人×29.3%×10分×243日≒2万2,700時間/年にも上るという試算結果が出たため、費用対効果が高いと判断し、本格導入を決断したのだそうです。

横須賀市の生成AI活用の今後

ChatGPTの導入について
画像引用元:当日の登壇資料より引用

嘉永6年(1853年)、ペリーが黒船で来航したことにちなみ、横須賀市では生成AIの活用を第二の開国と位置付けて取り組んで行くといいます。

新たな取り組みとして、次の3つが紹介されました。

・ChatGPTを活用した他自治体向けの問い合わせ対応ボットの設置(2023年8月16日):
→他自治体からの過去の問い合わせ内容を学習させ、「生成AI活用は誰の発案?」「セキュリティ対策は?」「バージョンは?」といった質問に回答可能なボットを設置。

・生成AI活用のためのポータルサイト「自治体AI活用マガジン」を開設(2023年8月29日):
→横須賀市のほか、10の生成AI先進自治体が参加。全国の自治体に導入に関する情報や活用事例などの情報発信を行う。

・福祉の相談窓口として設置している「AI相談パートナー」への活用(2023年10月5日):
→市民から福祉の相談を受ける相談員のサポートツールである「AI相談パートナー」にChatGPTを活用することで、相談内容を自動で要約し、職員の作業時間の短縮を図る。

最後に、来場者からの質疑応答があり、講演は幕を閉じました。

なお、横須賀市の新たな取り組みとして3つ目に紹介された「AI相談パートナー」への活用には、アイネスも協力しております。

AI相談パートナーについて、詳しくは下記のページをご覧ください。
AI相談パートナー(AIを活用した自治体相談業務支援サービス)

アイネスでは、自治体向けのソリューションを多数、ご用意しております。地方公共団体向け基幹業務システム「WebRings(ウェブリングス)」を始め、「AI相談パートナー」や「手続きBaton」、さらに、24時間365日、監視、帳票出力・加工、配送まで一貫したサービスや、AI・RPA等の最新のテクノロジーと連動させたシステムサービスなど、トータルサービスも提供しております。

自治体向けのサービス/ソリューションについて詳しくは、こちらのページをご覧ください。

2040年へ向けたスマート自治体の実現に向け、ChatGPTなどのAI活用を始め、システムやサービスの導入を検討中のご担当者様は、お気軽にご連絡ください。

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