経済産業省は、2018年9月に「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」を発表して以来、日本におけるDXを推進してきました。2020年12月には「デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書『DXレポート2(中間取りまとめ)』」を発表し、調査対象となった国内企業223社のうちの9割以上が、DXに未着手または一部の実施にとどまることを明らかにしました。
本来、DXとはビジネスモデルやビジネスプロセス、プロダクトなどの抜本的な変革を指す言葉ですが、いきなり大きな変革を目指すのはハードルが高いということなら、手始めに一部の部門から取り組みをスタートすると良いでしょう。
本コラムでは、さまざまな部門の中で特にマーケティング部門にフォーカスして、DXを推進するメリットやデータ分析についてご紹介いたします。
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マーケティングDXとは、企業などの組織におけるマーケティング活動を、最新のデジタルテクノロジーを活用することで変革させることです。
そもそも、マーケティングとは営業活動を行う前のフェーズであり、潜在顧客からリードを創出し、営業アプローチをかければすぐに受注できるホットリードへ育成するまでの活動を指します。
マーケティング領域の業務において、メール配信システムやMA(Marketing Automation/マーケティングオートメーション)ツール、ABM(Account Based Marketing/アカウント・ベースド・マーケティング)ツールといったデジタルツールを活用することで、マーケティング業務を効率化できたり、より大きな効果が期待できる施策を展開できたりするようになります。
マーケティングDXを推進する主なメリットは、以下の3点です。
連絡先情報を取得しているリードへのメール配信や、キャンペーンの実施結果データの集計など、マーケティング業務の中にはコンピューターに任せられるような単純作業が発生します。
これらをRPAやメール配信ツールなどで自動化することで、マーケティング担当者の手が空き、新たなマーケティング施策の企画などに当てられるようになります。場合によっては、残業代など人件費の削減につながります。
また、人手による作業では、どうしてもヒューマンエラーが起きてしまいますが、ツールの利用によって低減できます。
こうした業務効率化などにより、生産性の向上が期待できます。
マーケティング業務をデジタルツールで実施する中で、ツールのデータベースに消費者行動などのマーケティングデータが蓄積されていきます。蓄積されたデータを元に仮説を立て、マーケティング施策を企画することで、より精度の高い効果的な内容となるでしょう。
実際に施策を実施した後も、データを分析することで、結果を客観的に捉えることができるようになります。
マーケティングDXにより集積した消費者行動などのデータを分析すれば、商品開発にも活かすことができます。
新商品や新サービスを開発する際は、インタビューなどの市場調査を行うケースも少なくありませんが、これに加えて自社に蓄積されたデータを加味することで、ターゲットのインサイトを、より詳細に把握することが可能になるでしょう。
このため、ターゲットのニーズに寄り添った商材の開発が期待できます。
開発はマーケティング業務ではありませんが、マーケティング部門からスタートしたDXを社内へ広げていく良いきっかけとなるでしょう。
「データ蓄積による施策精度の向上」でもお伝えしましたが、マーケティングDXを進める中で、デジタルツールにはデータが蓄積されていきます。
これを効果的に活用するためのポイントが、以下のような点です。
マーケティング部門や営業部門、サポート部門など、社内の各部門、さらにはそれぞれの部門で利用しているデジタルツール上に存在するデータを一ヵ所に集めて統合することで、分析に利用できる情報が増え、顧客のインサイトをより詳細に把握できるようになります。
DWH(データウェアハウス)などを活用することで、各部門から同一のデータを参照でき、部署間での整合性も取れるようになります。
ダッシュボードとは、データ活用のために必要な情報を一画面に集めてわかりやすく表示したものです。グラフなど、一目で理解できるような状態に可視化されているため、ダッシュボードを見るだけで簡単な分析が行えます。
ダッシュボードでマーケティングに関する現状をリアルタイムに把握できることで、意思決定のスピード化につながります。マーケティング施策のPDCAサイクルを高速で回せるようになるでしょう。
マーケティングにおいて活用できるデータ分析には、以下のようなものがあります。
また、上記のような分析を行うために利用する主なデータ分析の手法には、以下のようなものがあります。
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マーケティング業務においてDXを進めるために知っておきたい情報をご紹介しました。
マーケティングDXを推進することで、単純作業の自動化による生産性の向上や、データ蓄積による顧客対応の向上が見込めます。取り組みの中で得られたデータは他部門のツールとも連携して集積し、マーケティング施策の結果分析や顧客分析などに活用しましょう。
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